神話のあとに訪れたい、高千穂峡という静寂の聖地
Recording & Sound Design by Setsuya KUROTAKI
All tracks copyright protected. All rights reserved.
℗ / © 2026 schön rec. Under exclusive license to NOiR Inc.
https://maison-noir.net/
https://setsuyakurotaki.com/
写真:宮澤正明
かみさまのこえをきく
仲間や家族と参道を歩き、祈り、願うことでセロトニン、オキシトシン、ドーパミンの分泌が促される――ウェルネスのスペシャリストが神社を巡り、心と体をひらく新しいあり方を探る本連載。日本神話の舞台として伝わる高千穂で、森と神話に触れながら、自分自身と静かに向き合う。
SHINDO ――神社でひらく、心と体のウェルネス
その土地の自然音や神社にまつわる音に身をゆだね、神々をイメージした神楽(かぐら)のような動きと呼吸を重ねることで、心が静まり、意識は自然とこの瞬間へと向かう。本連載では、このSHINDOの考え方をもとに神社を巡り、心と体がひらかれていく感覚をひもといていく。
高千穂 神話が息づく森へ

高千穂神社の境内に足を踏み入れると、まず圧倒されるのは森の気配だった。空へ伸びる杉の巨木、その間を抜ける風。静寂のなかに確かな生命力が満ちている。後藤俊彦宮司は、その森を見上げながらこう語った。「社(やしろ)だけでなく、森そのものが神様の宿る場所なんです」
高千穂は天孫降臨の神話が息づく地。天照大神の孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)がこの地に降り立ち、稲穂を蒔いたことで豊かな国が開けた。日本の始まりは、人と自然、神々との“結び”を大切にする物語として受け継がれてきたという。


【左】1本の根から2本に分かれて伸びる「夫婦杉」は、良縁成就や家内安全の象徴。
【右】源頼朝奉納と伝わる鉄製の狛犬は、国指定重要文化財。
「神話には、人がどう生きるかの知恵が全部入っています」
神話に触れることで、人は人生の悲しみや不条理と向き合う力を育てていくのだと宮司は語る。
印象的だったのは、「木にも魂がある」という言葉だった。境内にそびえる樹齢800年を超える秩父杉。宮司は深い苦しみのなかで、この木から「頑張れ」と声をかけられたように感じた経験を明かしてくれた。「苦しいことを愚痴るのではなく、感謝の心を持ったときに神様の恵みがあるんです」と宮司。自然と向き合う時間には、人を本来の自分へと戻す力がある。

夜になると、神楽殿では高千穂神楽が奉納される。太鼓と笛の音が響くなか、舞い手たちが神話の世界を再現していく。その光景を見つめていると、神話は単なる昔話ではなく、人々の暮らしのなかで生き続けてきた文化なのだと実感する。情報や効率ばかりが優先される現代。自分たちがどんな物語の上に生きているのかを知るとは、人や自然への敬意を取り戻し、どう美しく生きるかを思い出すことなのかもしれない。
毎晩開催される「高千穂神楽」で、神話の世界を体感

高千穂神社
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1037
とちのこえをきくーー高千穂峡
とちのものをいただくーー釜炒り茶

甲斐製茶園
寒暖差が大きく霧の多い高千穂は、良質な茶葉の産地。有機栽培で育てられた生葉を釜で炒って仕上げる釜炒り茶は、釜香(かまか)と呼ばれる芳しい香りが特徴。茶園散策や飲み比べ、お茶のブレンド体験ができる「釜炒り茶満喫体験」も人気だ。
竹下雄真(たけした・ゆうま)
写真 宮澤正明
案内人 竹下雄真
音楽 黑瀧節也
編集 服部広子
翼の王国のアンケートにぜひご協力ください。
抽選で当選した方にプレゼントを差し上げます。