千葉でプールが1年中楽しめる 圧倒的非日常を体感するリゾートホテル
富士山と茜色のグラデーション 一年中プールが主役の非日常リゾート
水平線につながるインフィニティプールは全長40メートル。風に揺られる椰子(やし)の木、絶景と海の向こうの富士山には、やっぱり心が逸(はや)ります。
でも、素敵なのはここから。夕刻が近づくと太陽は大きく輝きを増し、空は青からピンクへと複雑に色を変え、水面に反射する光と影の世界に目を奪われることに。そして「BLACK POOL」と名づけられたそのプールは漆黒の鏡へと変貌し、プールサイドに灯(とも)された炎をゆらゆらと幻想的に映し出すのです。
それは自分の心も静謐になっていく、豊かな時間でした。
東京都内から車で1時間強。千葉・内房の小高い丘に誕生した「BOTANICAL POOL CLUB」は、その名のとおり、プールが主役です。
「すべてが及第点のホテルではなく、何か一つ圧倒的に魅力のあるホテルにしたかった。この場所の魅力は、なんといってもサンセット。それをプールに入りながら見られたら最高だなと思って」と語るのは、企画・運営を手掛けるVALMの北原耕太郎さん。
いかに部屋の外に出てもらうかを試行錯誤し、2つの違ったスタイルのプールと2種のサウナを併設。プールサイドバーではシャンパンやオリジナルカクテルも楽しめます。
水着にプールローブを羽織ったまま、就寝まで過ごせるのもとても快適。翌朝には生まれ変わった自分に出会えますよ。
一日中水着で過ごせるプールクラブの誕生
「友人や知人に国内でよかったホテルはどこか尋ねると、7割の人は外資系ホテルの名前を挙げます。それはシンプルに悔しいじゃないですか。しかも日本にはポテンシャルのある場所がたくさんある。であるなら、東京から一時間圏内で行ける場所で、ランドスケープと建物を融合させ、その土地の魅力を最大限に引き出すホテルをつくろうと。外資系大手チェーンも真似できない、唯一無二のホテルを」(VALMの北原耕太郎さん。以下同)
その情熱が発端となり、誕生したのが「BOTANICAL POOL CLUB」だ。「ホテルにプールがあるのではなく、プールに宿泊施設がついている」との言葉どおり、オールシーズン、2つの魅力的なプールを24時まで楽しめる。
総面積は約1万平米。その広大な敷地には約300種類のボタニカルが植えられており、吹き抜けが高く開放的なフロントロビーに立つと、まるで南国のリゾートに来たかのようなハイな心持ちになる。
チェックインし、水着に着替え、ローブを羽織り、リストバンド式のルームキーを腕にはめたら、いざプールへ。見たこともない多様な植物のトンネル「BOTANICAL PATH」を駆け抜けると──
そこが「SIGNATURE POOL」だ。
周囲を取り囲むパラソルやデッキチェアは、宿泊者以上の数が用意されているという。人の距離感がほどよく保たれているのは、そのおかげかもしれない。プールサイドバーでドリンクを楽しむ人、デッキチェアで読書や午睡にいそしむ人、泳ぐ人、サウナと外気浴をとことん追求する人など、みな思い思いの時間をプールサイドで過ごしている。
「千葉の外房の観光マーケットは非常に活気がありますが、太陽が逆側に沈むから、日が短い。私たちは外部環境と一体化したホテルをつくりたかったので、日が長い方がお客様の満足度につながるだろうと考え、内房を選びました。おかげさまで多くのお客様が部屋の外で長い時間を過ごされますね」
プールあがりの冷えた体を温めるのは、2つのサウナ。プールサイドにあるサウナ「SWEAT BOX」は、大きな窓からボタニカルビューを望め、時間によって景色が変わる。
一方の宿泊棟にあるサウナ「SWEAT LODGE」は10人収容可能の大きめのサウナ。ともに水着のまま男女一緒に利用でき、セルフロウリュ完備とあってしっかりと体を温めてくれる。
また、客室は専用テラスつきの「POOL TERRACE」、プライベートプールを配した「POOL SUITE」、専用プールを備え6人まで利用可能な「POOL VILLA」など、5タイプ、全21室を用意。床は防水、家具は耐水と、徹底されている。
部屋に備え付けのスナック類やドリンク類は宿泊費込み。プールローブやタオル、サンダル、アメニティなどは、ショップやオンラインストアでも購入できる。
癒され、かつエネルギーももらえるホテル
実はこの「BOTANICAL POOL CLUB」、地元の中学校の跡地だという。だからこそ小高い丘の上でありながらインフラが整っていた。その後、ある大学が購入し、セミナーハウスとして使われた。現在のフロントロビーから宿泊施設までの建物はその際に建てられたものだ。
「床や天井はちょっと公共施設っぽかったですが、構造や大きな窓はそのままです。開放的で気持ちの良い既存の建物をできるだけ有効活用したのですが、事業にとっても環境にとっても正しい結果になったのではないかと思います」
2023年8月25日に開業して約7カ月。「30代前半」という客層に対する予想は、「嬉しくも少しはずれて」、実際は20代から60代までさまざまな年代がやってくるという。
「楽しんでくれたり、リピートしてくださったりする方々の共通項といえば、やはり陽気でポジティブでしょうか。せっかく来たのだからとことん楽しもう!という前向きな人が、このホテルの価値を理解してくださいますね」
プールに体を浮かべて刻々と移り変わる空を見上げ、サウナでデトックスし、薬膳火鍋など体によい食事をし、ほどよくアルコールに酔い……。
その間、一切服を着ず、化粧もせず、ひたすら自らの感じるままに過ごしていると、あまりのリラックスさに体が溶けそうになる。そうして一晩ぐっすり眠った翌朝は、エネルギーが体に満ち満ちているのがわかる。
「リラックスするだけでも価値はあると思うのですが、私たちは『明日に繋げたい』という思いがあるんです。それでエネルギーを感じる植物をたくさん配置しました。要するにプールの水でリラックスして、リセットできて、なおかつボタニカルやこの場所が放つエネルギーから活力をもらえる。その相反する2つを提供できるのが、BOTANICAL POOL CLUBなんです」
笹野美紀恵
サウナトータルプロデューサー。実家は、“サウナの聖地”と称される「サウナしきじ」。サウナ・温浴施設プロデュースのほか医療機関と連携し、新しいウェルネスの形を提案している。
BOTANICAL POOL CLUB
案内人 笹野美紀恵
写真 yOU(河﨑夕子)
取材・文 堀香織
編集 服部広子