大分・白山川の名水で整える世界で唯一の「鍾乳洞サウナ」で潤う〜Deportare Trip vol.4

サウナの聖地「サウナしきじ」（静岡県）の娘である笹野美紀恵が、数々のサウナや温浴施設をプロデュースしてきた経験と、女性の視点で選りすぐりのスポットを紹介します。

野外に設置したテントサウナで体を温め、川や湖など天然の水風呂でクールダウン。本場フィンランドさながらのアウトドアサウナを楽しむ方が年々、急増しています。

「Deportare Trip〜旅で潤う」連載第4回目、世界で唯一、水中鍾乳洞の水風呂を体験できるアウトドアサウナ。2021年3月、大分県豊後大野市に誕生した「稲積水中鍾乳洞」です。

大分県といえば、温泉の源泉数、湧出量ともに日本一を誇る「日本一のおんせん県」です。しかし、県内には温泉のない自治体もあり、その中の一つが豊後大野市。私自身、近年の大分のサウナの進化はすごいと公言してきましたが、人生初の水中鍾乳洞に大自然の奇跡を感じました。

３億年の歴史がある鍾乳洞は、鍾乳石が形成された後、およそ９万年前の阿蘇山大噴火によって鍾乳洞の大半が水没。現在の形になりました。幻想的なブルーの光に照らされた鍾乳石はとても神秘的で、自然の造形物はため息が出るほど美しい……。キラキラと光る水風呂にダイブすれば、なんとも言えない清涼感に包まれます。肌に優しい滑らかな水は、冷たすぎないところもおすすめです。

「鍾乳洞の中の温度は１年を通して変わらず、温度も水温もほぼ16度。サウナの水風呂としては最高の環境です。水は、日本名水百選に選ばれた白山川の水を利用。1日７万トンもの水が流れているので、常に水は清らかなまま。透明度21メートルは日本のトップクラスの高さを誇ります」と語るのは、支配人の青松善輔さん。

併設されたテントサウナの中には、青松さんがこだわり抜いたストーブが設置されています。サウナストーンに細く、長く、こまめに水をかけることで湿度も絶妙なバランス。 大自然の中で味わう外気浴は、施設内の整い場所とは異なる開放感と、このうえない満足感を得られます。

「お客様の中に、『ここに来て、外気浴がこんなに気持ちいいって初めて知りました』とおっしゃる方がたくさんいます。外気浴を楽しむためのサウナがあり、水風呂がある。そんなアウトドアサウナの楽しみ方も知ってほしいです」（青松さん）

　太古から続く魅惑の洞窟で、至福の癒やしの時間を過ごしませんか。

写真：青松善輔