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「翼の王国」は、1960年に創刊されたANAの機内誌です。
いつでもどこでもスマホアプリを通じて閲覧できるほか、2022年10月からはWEB版も開始。
最新号やバックナンバーもご覧いただけます。今後も冊子、WEBそれぞれの「翼の王国」をお楽しみください。

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モロッコや北アフリカの地域文化において、青は境界を示す色であり邪視を避ける魔除けとして、また灼熱の太陽を和らげる涼感の象徴として、さらには空や海の果てしない広がりを映す色として受け入れられてきた。かつてインディゴなどの青の顔料は世界でもっとも高価で希少なものだったが、モロッコではその青を日常にまで引き寄せ、街や工芸を染め上げてきた。そうして生まれた青は、特別な意味を誇示するのではなく、人々の営みを静かに映し出す背景となった。青は人の心を落ち着かせ、孤独を慰め、広がりを感じさせる。だから旅人はこの国の青に触れるとき、心を揺さぶられるのだ。モロッコを巡る旅は青を辿る旅であると同時に、人々が色に託してきた祈りや記憶を感じ取る旅でもある。