「駅は街のスタート地点」ミナモアが再定義する広島の風景とは?
2025年に開業したミナモアは、駅を単なる通過点ではなく“街の体験が始まる場所”へと更新した。路面電車が2階へと乗り入れるアトリウム、光の反射と人の動きが重なって生まれる揺らぎは、時間とともに表情を変える風景となる。建築家・吉田愛と谷尻誠は、広島に流れる川や雁木の記憶をどのように空間へ翻訳したのか。その設計思想をひも解く。
広島・東京の建築事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE」のお2人に聞く
INTERVIEW 建築家 谷尻誠さん、吉田愛さん
谷尻 誠 | たにじり まこと

吉田 愛 | よしだ あい

再生してきた街の力が新しいデザインにも生かされているのだと思う

2025年3月に開業した新広島駅ビル「ミナモア」。路面電車が発着する電停のあるアトリウム空間、屋上広場のデザイン監修を手がけた広島出身の建築家・吉田愛さんと谷尻誠さんに駅ビルに込めた想いをうかがった。
「駅は街の風景のスタート地点でもあるので、広島に来た!と感じてもらえる場所に。乗り入れ口があるアトリウムは中と外が曖昧な空間。外光を受けて反射する天井の光、人や電車が動いて生まれる揺らぎ、時間で変化する外光、うつろうという現象を取り入れることで広島らしい景色を作りました」(吉田)
「川の流れる風景が、広島の街が美しいと言われる要因。そんな街の風景とつながる空間にしました」(谷尻)
“川の街”と呼ばれる広島には6本の川が流れる。路面電車は駅前の通りからアトリウム空間のあるビルの2階に乗り入れる。
「広島の街には川沿いに雁木(がんぎ)※という豊かな余韻があって人々が思い思いに過ごしています。そんな心地よい人々の居場所を作りました」(吉田)
※川沿いにつくられた階段状の船着場。
「線路のある中心を川、両サイドに雁木のように自由に座れる場所を街の風景に見立てた空間です」(谷尻)
建築、デザイン、ものづくりなどが根付き、育まれる広島の土地柄、人々の気質とは。
「海、川、山といった自然と街が近いという環境、再生の歴史やそこで育まれたタフな精神力などが混ざり合って、ものづくりにも真摯に向き合う人が多いのかもしれません」(吉田)
「すごくネガティブな経験をしたからこそのポジティブな姿勢が受け継がれています。厳島神社の木造建築群のように、自然に抗うのではなく受け入れ、受け流して共存する」(谷尻)

地元の人々と観光客、あらゆる世代の人で賑わう新駅ビルで広島の新しい風景が生まれていた。
minamoa (ミナモア)
撮影 吉澤健太
取材・文 齊藤素子
編集 川原田朝雄
<広島への翼>
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