ベトナムの農村で見つけた水牛と少年たち まぶしくも豊かな風景
ハノイから南へ向かった先で、私は水牛と泥だらけになって遊ぶ少年たちに出会った。決して物に恵まれているわけではない。けれど、その瞳の輝きと笑顔には、都市生活のなかで忘れかけていた“豊かさ”が、静かに息づいていた。
才人が旅先で出会った忘れえぬ光景を綴る。
今回は1960年代から長きにわたって、この国のカルチャーを牽引し続けたこの人。
写真・案内人 松山 猛
1946年京都市生まれ。64年京都市立日吉ヶ丘高校美術課程洋画科卒。68年、ザ・フォーク・クルセダーズのために書いた『帰って来たヨッパライ』がミリオンセラーに。76年雑誌「POPEYE」創刊メンバーとなる。フリーランス編集者、作詞家、作家として活動中。
ベトナム・タインホア

2000年を迎えるころ初めてベトナムに旅することになった。
京都時代のフォークソング仲間の一人の芦田君が、セーブ・ザ・チルドレンというNPOの冊子を作るために出かけるというので、写真を撮る役をしようと、ボランティアとして同行することにしたのだった。
ただの観光旅行では出会えない、ベトナムの暮らしぶりや、小さな真実に出会えるだろうという期待を込めての自費参加だった。
ハノイの人々の暮らしぶりも、どこか自分が過ごした、戦後昭和的な、和やかさや活気あふれる風景として撮影できたが、やはりハノイから南下してタインホア省という自然あふれる風景の中で、つつましやかに生きる人々の世界が、さらに魅力的だったのだ。
セーブ・ザ・チルドレンが、農村の若いお母さんに、子育てをしながら、自立した暮らしができるようにとレクチャーする現場も撮影したが、僕の眼(め)に映った、たいしたおもちゃなどなくても、元気いっぱいに瞳を輝かせた子どもたちの姿がまぶしかった。
少年たちは、農村では頼りになる働き手の水牛を仲間として暮らしていて、良き遊び仲間でもあるようだった。旅の道中にも多くの水辺で、水牛のいる風景に出逢った。このページの一葉の写真は、農村を駆け巡っていたある日に出会った風景だった。
ベトナムは日本と同じように米を大切に栽培し、またこうした水辺にも様々な作物を育て、小さな生き物を捕る暮らしぶりをしていた。懐かしいその風景との出会いが視覚の宝物となってくれた。
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