国枝慎吾が帰国して語る日本の良さとオーランドへの想い 元世界1位からの新たな挑戦
※ この記事は、翼の王国2025年12月号に掲載されたものです。
1年9カ月のアメリカ・オーランドでの生活を終え、今年9月半ばに帰国した私はいま、故国での暮らしをじっくりと堪能しています。

まず、嬉しかったのは食事です。フロリダではランチに行っても、ハンバーガー、フライドチキン、それとメキシカンフード、ほぼほぼこの三択しかありませんでした。それが、ここ日本では蕎麦、ラーメン、お寿司、カレーライス、パスタに定食、丼物と、バリエーションが無限にあるかのよう。改めて「日本って素晴らしいな」と思っています。

帰国後の仕事はというと、日本車いすテニス協会の外部アドバイザーに就いたり、エキシビションマッチなどのイベントに参加したり、講演を行ったりと、それなりに忙しく過ごしています。
また、帰国早々、私に声をかけてくれた選手を“臨時コーチ”として指導することも。そこでもやはり「日本っていいな」と実感。というのも、フロリダではアメリカのジュニア選手の指導もしていましたが、英語で細かなニュアンスを伝えるのに苦労したからです。
そこへいくと、いま教えている相手は日本人選手。選手からの質問も日本語なら、私のアドバイスも日本語。「やっぱり母国語って楽だな~」と心底思いつつ、「これ、もし英語で指導するとしたら、なんて言えばいいんだっけ?」と考えている自分もいます。
いっぽうで、日本人選手を相手にしているのに、咄嗟に妙な英単語が出てきてしまうこともあって。「なんだか、外国かぶれしてるみたいだな」と、ひとりごちては笑ってしまうことも。

でも、オーランドでの経験を無駄にはしたくないと思っています。アメリカで過ごした1年9カ月という期間に、まだまだ私の英語力は発展途上ではありますが、それ以外にもさまざまなものを吸収することができたと自負しています。まだ、この原稿を書いている時点で発表できることはなにもありませんが、オーランドで得たものを生かせるような居場所を探して、挑戦を続けていきたいと思っています。
そうそう、冒頭で日本を堪能していると書きましたが、帰国して1週間も経ったころから、無性にオーランドが恋しくなる瞬間も。それは、空を見上げたとき。雲が広がりどことなく白っぽい空を見ると、あの抜けるような、真っ青な空が懐かしく思えてしかたがありません。
また、いつの日か、時間ができたら、自然豊かで温かな友人たちが待っているオーランドに、飛んでいきたいと思います。
写真・文 国枝慎吾
脊髄腫瘍のため9歳から車いす生活となり、11歳で車いすテニスと出会う。四大大会とパラリンピックを制覇する「生涯ゴールデンスラム」を達成。23年1月、世界ランキング1位のまま引退。
2016年よりスポンサーシップ契約を結んでいるANAは国枝さんの新しい挑戦をさらに応援し続けます。
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