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英語の“わかったふり”を卒業 アメリカ留学をした国枝慎吾の英語学習法

英語の“わかったふり”を卒業 アメリカ留学をした国枝慎吾の英語学習法

LIFE STYLE オーランドの空の下で

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※ この記事は、翼の王国2025年9月号に掲載されたものです。

今回は語学力のお話です。私は連載の開始時から、オーランドに拠点を移した目的の一つが「英語力を磨き直すこと」と説明してきました。当初は、近隣の州立大学にある外国人向けの語学スクールに通って勉強してきましたが、今年に入ってクオリティやコスパを鑑み、学び方を少し変えました。

私は日ごろ、全米テニス協会のナショナルキャンパスで、主にジュニア選手の指導をしていますが、その選手のお母さんの一人が、英会話のボランティアをされていて。いまは、その方に週2~3回、1回2時間半、みっちりと英語を教わっています。それ以外の時間も、移動の車中では英会話のポッドキャストを聴き、夜は自宅でオンライン英会話を。そうやって“英語漬け”の環境に、自分の身を置くように努めてきた結果、耳が少しずつ英語に慣れ、聞き取りはだいぶ上達したのではないかと思っています。

こちらに暮らして1年半超。その間の成長として自分がもっとも実感しているのは、会話をしていて、どこがわからないのかが、わかるようになったこと。そして、会話の相手に「わからない」と、きちんと伝えられるようになったことなんです。外国語での会話に不自由のない人や、海外で暮らしたことがない人は「え、それだけ?」と思われるかもしれませんが(苦笑)。

私はこれまで、こと英語に関しては、ずっと誤魔化しながら生きてきたと言っても過言ではないんです。選手生活を送った20年間、英語でなにか聞かれたりしても、ときには笑って受け流したりしてしまったのです。わざわざ、会話の腰を折って「あなたの言葉がわからない」と言うのも面倒臭いし、申し訳ないと思い「わかったふり」をしたことも、一度や二度ではありません。

そんな私が「いまの単語、どういう意味?」と聞き返せるようになったのです。私の問いに、相手も違う言い回しで伝え直してくれますし、それでもわからないときは、しつこく何度も聞き返し、たとえ時間はかかったとしても、コミュニケーションをきちんと取れるようになってきたのです。とても小さな一歩ですが、私にとっては大きな進歩だと自負しています。こちらでの生活を終えるころにはさらにもう一段、英語力をレベルアップして、帰国したいと思っています。

そうそう、ヒスパニック系住民が多いフロリダには、スペイン語もあふれています。テニスコートの清掃をしてくださるのも中南米出身のかた。ですが、彼らとのやり取りはまだまだ英語のようにはいきません。「¡Hola!(やぁ)」「¡Buenos días!(おはよう)」「Sí(はい)」、もっぱら使うのはこの3語だけで、いまも誤魔化している私がいます(笑)。

写真・文 国枝慎吾

脊髄腫瘍のため9歳から車いす生活となり、11歳で車いすテニスと出会う。四大大会とパラリンピックを制覇する「生涯ゴールデンスラム」を達成。23年1月、世界ランキング1位のまま引退。

2016年よりスポンサーシップ契約を結んでいるANAは国枝さんの新しい挑戦をさらに応援し続けます。

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