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千里川の土手で見上げる空は空港よりも飛行機に近い

千里川の土手で見上げる空は空港よりも飛行機に近い

LIFE STYLE 雲の上の診察室

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写真や動画では伝わりきらない迫力が、千里川の土手にはある。伊丹空港へ着陸する機体がすぐ頭上を通り過ぎる瞬間、飛行機は遠い乗り物ではなく、手の届きそうな存在になる。飛行機好きなら、立っているだけで満たされる場所だ。

W聖地巡礼

飛行機が車輪を下ろし着陸態勢になってから眼下に広がる景色を眺めるのが好きだ。森、沼、海、島、鉄路、高速道路、橋、ビルが建ち並ぶ市街地を見下ろしていると、つい動画撮影したくなる。

その動画はあとあと、とくに何かの役に立つものではないのだが、家に帰って大画面で再生してみると、伊丹空港へのアプローチの最中、古墳群や大阪城、梅田の繁華街と続いた後、滑走路に差し掛かる寸前の小川の土手で、飛行機に向かってカメラを向けている人や、手を振っている子どもの姿があった。空港に近いことだし、いつでも行けると思っていたら、十数年が経過していた。

伊丹空港の旅客ターミナルからタクシーで向かうこと15分。空港に隣接する場所とはいえ、B滑走路の端「千里川の土手」(豊中市)までは運賃2500円とまあまあの距離。タクシーの運賃分くらいの元は取り返さないといけなくなったな、などと思いながら降りた途端、ほんの数十メートルの頭上をこれまで見たこともないスケール感の飛行機が、キーンというエンジン音と共に一瞬で通り過ぎていった。言葉にならない非日常すぎる光景がそこにはあった。

しかも数分おきに飛行機はガンガン飛んでくる。ボンバルディアのプロペラ機、ボーイング777と、次から次へとやってくる。カメラを持ってくればよかったと、後悔した。とりあえず携帯の動画で片っ端から撮影。

航路の直下の迫力は凄(すご)すぎて飛行機が好きな人なら立っているだけで大コーフンしてしまうのだが、写真や動画を撮影しようとすると、尾翼にあしらわれた航空会社のロゴすら見えないので、土手を行ったり来たりしてベストポジションを見つけ出す。とはいっても、よい場所には既にたくさんのカメラマンが陣取っている。新しく整備された「豊中つばさ公園『ma-zika』」には、座ってのんびり着陸風景を楽しむ屋根付きのスペースがある。

いっそのこと、この近くに売地はないものかと不動産会社巡りがしたくなるほど、ここが好きになってしまった。手に取るように、毎日毎分、飛行機が頭上をかすめていくのが、自分にとってどんなに幸せなことか。地方にはいくつか同様のスポットがあるのだが、発着頻度、機体の種類の豊富さなどを考えると千里川の土手以上のスポットはなく、ここは飛行機ファンの聖地といっても過言ではない。

加えて、お腹が減ったら日本一の座席数、売上を誇る「餃子の王将 空港線豊中店」が徒歩圏内。ここも餃子ファンの間では聖地として名高い。飛行機と餃子の聖地がWで楽しめる。日帰り聖地W巡礼の旅はいかが?

〜つづく

イラストレーション/ソリマチアキラ

パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと

プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。

X @mambon

パラダイス 山元  写真

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