金沢・香林居で瞑想時間 観光地から帰ったら香りで迎えるラグジュアリーホテル
金沢の新しい建築美に触れ、森林の香りに癒される

客室の扉を開けた瞬間、ふわりと鼻先をくすぐる清々(すがすが)しい香り。静けさの中に、優しく包まれるような温もりがあり、まるで森の中で深呼吸するような心地よさだ。


歴史と文化が色濃く残る金沢にあって、あえて幾何学的な意匠を施し、洗練された現代的な美をたたえたスモールラグジュアリーホテル。新しい金沢の美意識と出合ったような衝撃を覚えた。

今回訪れた「香林居(こうりんきょ)」のエントランスには蒸溜所があり、名峰・白山の恵みであるスギ、クロモジなどが日々蒸溜されている。客室の香りの素は、ここで抽出された精油と蒸溜水だ。


サウナ室ではロウリュにも使われ、この日はスギの爽やかな香りが甘く変化し、思わず「こうくるか」と唸(うな)った私。木桶の蒸溜水に浸したタオルで顔を覆うと呼吸は一段と深まり、やがて瞑想状態に。

ホテルのコンセプトは「新しい金沢時間を処方する」。香林坊の地名の由来である僧侶が薬種商だったという史実に着想を得て、“処方”をテーマに独自のサービスを展開している。

「お客様一人ひとりの状態に寄り添い、心と体に処方するように癒しを提供する。それが当ホテルの目指すところです。滞在を通してご自身と静かに向き合う時間を持っていただけたらと思います」と、支配人はやわらかく語る。

サウナを終え、九谷焼の器でいただいた桂花茶が、染み入るように体を満たしていった。
香林居
兼六園や21世紀美術館に程近い香林坊に2021年オープン。54年の歴史ある「眞美堂ビル」の印象的なアーチの意匠を活用して改装したホテルは、心と体を“処方する”癒し空間を演出。ルーフトップサウナは日帰り利用も可。
石川県金沢市片町1-1-31
076-209-7766
案内人 笹野美紀恵
サウナ・ウェルネスプロデューサー。実家は、“サウナの聖地”として知られる静岡「サウナしきじ」。ホテルの温浴施設をプロデュースするほか、医療機関とオリジナルの薬草入浴剤を共同開発するなど、未病予防にサウナを活用する取り組みも行っている。
写真 前川裕介
編集 服部広子
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