マイルを貯めるついでに“推し活” さらにお得な飛行機の乗り方
猛暑というより、今年は全国的に酷暑の夏だったが、それも収まり、この季節ならではの味覚が楽しめるようになってきた。
旬は過ぎたものの、私の数ある好物のひとつにスイカがある。パラダイス家では“スイカ担当”として、近所の青果店の他、旅先で出会った地モノを目利きして、軽く叩いて内部からの反響音を確かめて“密度・糖度間違いナシ”を徹底確認して購入、家まで無傷で運んでくるというのが私の任務だ。
全国の名産地の空港売店で手に入れた最上級品を安全に持ち帰るミッションというのは、毎回スリリングで、実にやりがいがある。
単に重たいものは私に任せたいだけという理由なのかもしれないのだが、家族も丸ごとではない、お店でカットされて並んでいるスイカとかは買う気にはならないようだ。たとえ、スーパーで食べやすくダイスカットされて透明のカップに入っている商品に、半額シールが貼られていても手は出ない。丸々一個を買ってきて、台所で包丁を入れるあの儀式にも似た行為の瞬間を純粋に味わいたい。
長年スイカ好きを公言していると、ありがたいことに友人から、見たこともない大きさの楕円形だったり、無理やり感がありすぎる立方体とか、ギザギザ模様がない真っ黒のダイナマイト形とか変わったスイカが届く。私の周りは、人を喜ばせることに長けている人たちでいっぱいだ。実に嬉しい、いい連鎖だ。
観光も何もせず、空港から一歩も出ないで搭乗した便と同じ飛行機で帰ってくる、ANAにとっては“純粋すぎる搭乗客”が路線によって微増中と伺った。拙著『パラダイス山元の飛行機の乗り方』で10年以上前に“この技”を披露。自分以外誰もやっていなかった“乗り方”が飛行機好き界隈に浸透してきた。
折り返し便に乗る際、CAさんから「お帰りなさいませ!」と満面の笑みで言われることもあるが、怯んではいけない。こちらからも笑顔で「お久しぶりです!お元気でしたか?」と返すくらいの余裕が欲しいところだ。でも、そういうのがどうしてもこっ恥ずかしいというのなら、到着空港の売店で、例えば青森ならりんご、岡山なら桃、鳥取なら梨などを箱買い。「新鮮な果物を買いに行ってきましたー!」と、自らアリバイをつくって猛アピールするという手もある。でも、CAさんから、さらにそこに突っ込みを入れられてしまう可能性も否定できない。
マイルやプレミアムポイントを貯めるためだけのシンプルな搭乗から、あえてひと手間加えた「りんご活」とか「スイカ活」「さくらんぼ活」「桃活」「梨活」「マンゴー活」を実行してみるというのもありかもしれない。タイミングよく空港のANA FESTAに季節の果物が並んでいたなら、ANAカードでさらにマイルが貯まってたいへんお得である!
〜つづく
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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