円安も物価も気にしない 脳疲労を解決するハワイ旅
夏の疲れが溜まってきてはいませんか?
ただでさえ暑くて、なにもせず家でじっとしているだけで疲労感でいっぱいになるこの季節。仕事もお盆前に片付けないといけないとか、人が休んでいる時が最も忙しいという方もいるでしょう。大事な休暇に体を休めて、溜まった疲れを取るはずが、ついつい張り切って帰省や家族サービスと、目一杯予定を詰め込んでしまっている私のような方はいませんか?
そんな方にお勧めなのが、なにもしないハワイ日帰り旅だ。
たまに機内や空港で遭遇する『翼の王国』の連載を毎号楽しみにしてくれているお医者様に「ここ最近、文章を書くスピードがめっきり遅くなってしまって〜」と、正直に打ち明けたところ、瞬時に「それは加齢によるものとかではなく、“脳疲労”か“脳過労”を起こしているのではないか」と鋭く指摘された。脳が疲労すると、脳内の処理速度が遅くなってしまい、書きたいことがスラスラ頭に浮かばなかったり、以前はもっと上手い表現ができたのに!となってしまうのだそうだ。“記憶”も脳のメモリーが常にいっぱいになってしまっていると、忘れやすくなってしまうらしい。
全ては加齢のせいだと諦めかけていたことが、脳を休ませるという単純な方法で復活するのなら、万々歳だ。脳を休ませると頭の回転が遅くなるどころか速くなる。注意する点は、すぐに効果が実感できる訳ではないので、数週間単位で毎日“脳のスローライフ”を意識するとよいという。長年、地方のドクターヘリに乗り、地域医療を支えてきた医師の言葉には説得力がある。
以前、200ページ超えの飛行機エッセイを、羽田ー那覇20往復、10日間機内だけで執筆したことがある。機内で書いているうち、地上に降りたら全く書けなくなってしまったので、開き直って、地上ではもう書かない!と“地上断筆宣言”して今に至る。新聞や雑誌コラムなどの原稿依頼が来た際は、文字数に応じて、八丈島往復で書けそうだ!などと航空券を予約していた。そういうメリハリをつけた行動は脳によいらしい。
夏休みの終わりはフライングホヌの1階エコノミークラスに乗ってハワイ日帰り旅を予約済。機内食はもちろんフルーツミールを事前にチョイス。耳栓とアイマスク装着で映画もネットサーフィンも、もちろん仕事もせずデジタルデトックスに徹する。観光も海水浴もせず、無料のANAエクスプレスバスとワイキキトロリー乗車も次回に見送り、普段なら必ず立ち寄るワイキキのマハロラウンジにも寄らない。脳と体をただただじっくりと休ませるためだけの、本当になにもしないハワイ旅はマイルを使った特典航空券で行く。現地で買い物もしないから円安も関係ない。快適な空だけの旅ホヌノルタッチで、自身を再生してくる。
〜つづく
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
X @mambon