ANA国際線では最長路線 直行便で行く時差ボケ0のメキシコタッチ
ラテン音楽の演奏、作曲を生業としながら、キューバにもメキシコにも行ったことがなかった私。いつか行ける時が来るだろうなどと思いつつ半世紀以上が経過してしまった。2017年2月15日、成田ーメキシコシティ線の初便に搭乗した。
初就航から7年。あの感動をもう一度という訳でメキシコ便を予約、搭乗した。正確に言うと、那覇発メキシコ経由札幌行きである。2024年2月15日、成田空港では、とくに就航7周年記念セレモニーなどはなく淡々と搭乗。メキシコシティ国際空港到着前に、機内アナウンスがあり、現地スタッフから記念ステッカーが降機する際に配布されると聞き、記念フライトに搭乗していると実感。ちょっと嬉しくなった。
7年前の就航初便当日は、成田空港でANA NARITA Sky Band☆によるラテン音楽の演奏、メキシカンダンスなどが披露された。到着地メキシコシティ空港では、メキシコの民族音楽“マリアッチ”の楽団が出迎えてくれるなど祝賀ムードを存分に味わった。メキシコシティ発、復路便出発の際には、着物姿の日本人によるお琴(こと)の演奏や鏡開きもあった。
成田ーメキシコシティ線は、メキシコ国内で増加した日本企業の進出など、顕著な需要に支えられている。ANA国際線で、往路12時間45分、復路14時間25分という直行便の中で最長路線というのも、できるだけ長く飛行機に乗っていたいという私のようなファンにとっては魅力的な路線なのだ。預け荷物もなく、ほぼ手ぶらで搭乗。ゆっくり機内食をいただきながら、何本もの映画やオーディオブックなどのエンタテインメントを楽しんでいるうちに到着。
成田空港の運用時間帯の影響で、メキシコシティ到着後、折り返し便の出発まで10時間以上。メキシコ入国審査通過後、空港内に留(とど)まっていてもいいのだが、市内中心部まで行って観光や食事、買い物を楽しむことも可能だ。
この日、成田から就航7周年をお祝いしようと集まった顔見知り12名のうち6名がメキシコに数日滞在、私を含む残り6名は日帰りだった。滞在組は、遺跡巡りや、ルチャ・リブレを観戦しに行くとのこと。メキシコ線に数多く乗務されているCAさんからおすすめのタコスレストランや老舗チュロス店の情報を機内で伺うことができた。
空港から市内中心部へは、安全でタクシーよりも明朗会計のライドシェアで移動。日が暮れるまで散策。レストランでゆっくり本場のタコスとライムを絞った冷たいコロナビールを堪能、再び空港へ戻った。ラウンジでも思い残すことなく飲食した後の復路は、お腹にやさしい“フルーツミール”をリクエストしておいて大正解だった。
那覇発メキシコ経由札幌行きの魅力は、帰国後“時差ボケ”がまったく感じられないことだ。再訪決定。
〜つづく
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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