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ハッピーアワーとは違う!ミラノ発『アペリティーボ』は至福のリラックスタイム

ハッピーアワーとは違う!ミラノ発『アペリティーボ』は至福のリラックスタイム

TRAVEL 2024.10  ミラノ特集

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“アペリティーボ”。日本人に馴染みのないミラノ発のこの風習。説明するとしたら、「食事の前に仲間と軽食をつまみながら過ごす飲み時間」とでもするのがわかりやすいかもしれない。

料金はお得になっていて、アペリティーボの時間に限り、通常の飲み物の金額にアペリティーボ用の料理が含まれている。「それってハッピーアワーと同じ?」と勘違いする人もいそうだが、それは大きな早とちり。ハッピーアワーとはお客の少ない時間に料金を安くして来店を促すためのシステム。アペリティーボは、むしろお客がきやすい時間(会社退社時間)に合わせて行われている。

つまりハッピーアワーが客寄せのためのものだとしたら、アペリティーボはお客にONからOffへの切り替えの時間を提供するものだと言ってもいい。

ではどうしてこのようなシステムが誕生したのか?「翼の王国」10月号ではミラノに暮らすミラネーゼの人々にインタビューを掲載している。

「夕食をさらに充実させるためのものだよ」(ceresio7バーマネージャー:アビ エル アタウイさん)。

「アペリティーボのスタイルにも移り変わりがあり一昔前はビュッフェスタイルの食べ放題スタイルが流行っていました。競争が激しくなってどの店も料理の数を増やして。ビュッフェスタイルの店まで現れた」。

「『一杯のドリンク代で食べられるお得なディナー』になってしまって。その反動から、近年では洗練されたフィンガーフードを提供する店が増え、本来の姿に戻りつつあります。アペリティーボとは、食欲を高めてくれるアルコール度数軽めのカクテルを飲み、美味しいディナーへの橋渡しをすること。それがアペリティーボの理想的なスタイルです」。

イタリア中で楽しまれているアペリティーボだが、そもそも何故ミラノで始まったのか? それについて教えてくれたのは、ミラノで最も洗練されたセレクトショプ10 Corso Comoのマネージャー(匿名希望)。

「忙しいミラネーゼ達のためのオアシス的な時間だからね。手軽に時間を共有できるアペリティーボは忙しい都市ミラノで発達した特徴的な文化なんです。忙しいということは時間の使い方が上手くなければならない。そこで人を誘うハードルの低いアペリティーボが気軽なコミュニケーションのツールとして大いに機能してきたし、リラックスした中でのミーティングとしてビジネスツールとしても活用されてきたという一面もあります。ディナーは誘う側も誘われる側も構えてしまいます。その点気軽に誘えるアペリティーボは、時間の使い方が上手なミラネーゼ達の間では人を誘うハードルが低い重要なツールでもあるということです」。

ONとOFFのスイッチを切り替えるためのアペリティーボ。となると、どこで、どんな場所で過ごすのかということも、アペリティーボの重要な要素となってくる。美しい場所、風景、装置が揃うミラノの中から、いったいどのような場所を選んでいけばよいのか?

「アペリティーボは、ミラネーゼにとってとても貴重な時間。仕事の終わりに訪れる解放感の中で友人や知人と交わるこの瞬間は、まさに一日の疲れを癒すための特別な儀式。洗練された空間でリラックスし楽しむのがミラネーゼ流のアペリティーボ」(BULGARI HOTELS MILAO,GMゴッフレード デェルアペニーノさん)。

喧騒を忘れさせてくれる洗練された空間で過ごすアペリティーボの時間、それは彼にとって「その瞬間こそがミラノの真髄を感じる極上の時間」。

ミラノが最も美しい姿となるマジックアワーの時間に始まるアペリティーボ。それは洗練された空間の中、ミラノの文化に触れる贅沢な時間。

取材・文・写真 山下マヌー

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