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「小便小僧 がっかり」から考えるギャップ 観光客の視点とベルギー市井のユーモア

「小便小僧 がっかり」から考えるギャップ 観光客の視点とベルギー市井のユーモア

TRAVEL 2024.07  ベルギー特集

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ベルギーの首都ブリュッセルで誰もが一度は訪れる場所、「小便小僧」。

像の起源については諸説ある中、自分が好きな説は「少年が反政府軍の爆弾を小便で消火、街を救った」という説。さすがにあり得ないし馬鹿げている説なのだけど、ここにベルギーの人々のセンスオブユーモアを感じてしまう。

起源についてはともかく、この像は観光ガイドブックに必ずといっていいほど紹介されており、初めて訪れる誰もに、かなりの期待を抱かせる。しかし、その実物を目にした瞬間、なぜこの像が「世界三大がっかり」の一つに数えられているのかが、誰もが理解できるだろう。

まずがっかりさせられるのは、その大きさ。サイズは想像を遥かに下回るもので、高さわずか60センチ余りの小さな銅像が、ひっそりと佇んでいるその姿に拍子抜けさせられる。世界的に有名な像であれば「もっと壮大なものであるはず」という期待はバッサリと裏切られるのだ。

さらに、この像が置かれている場所も拍子抜けだ。ブリュッセルの街の中心地にある小さな噴水にちょこんと立っているだけ。特別な雰囲気や壮大な背景があるわけでもなく、観光名所としての魅力というか、ありがたみに欠けているのだ。

加えて像の周囲は観光客で混み合っていて、写真を撮るために順番待ちの状態。ゆっくりと像を眺める余裕もなく(眺めたいかどうかは別として)、ただただ人混みに押されるばかりとなる。

「がっかり」という気持ちにさせられるのは、そもそも観光地としての期待が大きすぎるからでもある。世界中から訪れる観光客は、小便小僧がいかに特別な存在であるかを期待している。ところが実物はその期待に応えてくれていないのだ。

例えば、ニューヨークの自由の女神やパリのエッフェル塔のような圧倒的存在感がないために、見た瞬間「これがあの有名な小便小僧なのか?」と疑問に思ってしまうし、実際に自分が始めてみたときには「これはレプリカに違いない、本物はどこにあるのだ」と、思ったほどだ。

さらに、像が定期的にコスチュームを着せ替えられることも、がっかり感を増す一因かもしれない。訪れる時期によっては、小便小僧が様々なコスチュームを着ており、その姿がさらに「がっかり」を感じさせることがある。例えば、サンタクロースの衣装やスポーツユニフォームなど、地元のイベントや国際的な行事に合わせてコスチュームが変わることがあり、それがなんとも「軽さ」を演出してしまうこととなり、必ずしも観光客の期待に応えるものではないことも多いのだ。

とはいえ、この小さな像がもつユーモアや遊び心は、ブリュッセルの市民にとっては誇りであり文化の一部でもある。小便小僧が示すのはベルギーの人々の寛容さやユーモア、そして地域に根ざした伝統。観光客がその背後にある深い意味を理解することで、がっかり感は減少するかもしれない。

結局のところ、小便小僧にがっかりするのは、我々の期待と現実のギャップに他ならない。期待しすぎるあまり、その実物がもたらす驚きや喜びを感じる余裕がなくなってしまっているのだろう。

次回、ブリュッセルを訪れる際には、期待を少し抑え、その小さな像が持つ大きな歴史と文化を感じ取ってみてほしい。そうすることで、がっかりすることなく、その魅力を再発見できるかもしれない。

写真・文 山下マヌー

<ベルギーへの翼>
成田国際空港(NRT)からブリュッセル空港(BRU)までANA直行便(毎週水・土発)利用で約14時間半。空港から市内中心部まで電車で約20分。市内からアントワープまで同約40分。帰国はブリュッセル空港(BRU)から成田国際空港(NRT)までANA直行便を利用(毎週水・土発)。

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