“わざわざ”行く価値のある奇跡の絶景〜幽玄の入り口El Nido-2
今回の特集で取り上げているエルニドの風景。ドローンで撮影した断崖の島や入江のラグーンの写真を見て「どこかで見た風景と似ている」と、そう感じた人はかなりの旅通、もしくは島通だと思われる。「どこかで見たことがある」と感じた場所、そこはおそらくアンダマン海?
アオナンビーチからボートに乗ってアイランドホッピングに出れば、映画「The BEACH」のロケ地として知られるようになったピピ島周辺にも似たような景色を見ることができる。実際、自分も写真だけでしかエルニドを知らないときには同じように感じていた。ところが実際に行ってみると、全く違うことがわかる。
なにが違うのか?それは、人。訪れる人の数が圧倒的に違う。クラビやアオナン周辺には多くのリゾートが進出し、大勢の観光客がやってくる。プーケットからもボートで日帰りツアー客がやってくる。かつてクラビに飛行場がなかった頃は、バンコクから長距離深夜バスに乗って向かうような、とても不便な場所で(だからこそ保たれていた)、わざわざ行く秘境だった。
そう、「わざわざ行く」というのがいいのだ。
エルニドは未だわざわざ行く場所であるというのに加え、リゾートの数を制限しているのと同時に、リゾートが中心になって海域の環境を守っている。スタッフの多くに島民を雇用したり、リゾートで使用するものの製作を島民に依頼している。彼らの暮らしが安定することでさらなる開発を避けることができた。その結果、エルニドは今でもわざわざ行く場所であり、オーバーツーリズムとは無縁の場所として、約2億5千年前からの海域を保ち続けている。
日本人にとって嬉しいのは“わざわざ”行く場所であるにも関わらず、日本からわずかな距離にあるということ。思い立ったら“わざわざ”行ける場所、エルニド。さぁ、「神の想像した最後の楽園」に行かないと!
写真・文:山下マヌー