シカゴ・カブスのヤギの呪いやルート66 逸話と共に受け継がれるソウルフード
19世紀後半に鉄道の拠点として発展した都市シカゴ。多くの企業や人がシカゴに移住し、さまざまな商店が開業。多様性都市であるシカゴは、食文化も交流する都市である。
異なる文化の影響を受けながら独自の“シカゴスタイル”の料理を提供する店が生まれ、それらの中には100年を越えて愛され続け、レジェンドとなった店もある。
全米一美味しいシカゴのソウルフード
Lou Mitchell’s Diner(ル・ミッチェルズ)は創業1923年、古き良きアメリカの味を今に伝え「アメリカで一番おいしい朝食」と評されるダイナー。1926年に創設された「ルート66」のオリジナル起点だったジャクソン通りに位置し、鉄道要所のユニオン駅からも近いことから全米各地へと向かう旅人たちの”胃袋”を満たし愛され続けてきた。
特に20種類を超えるオムレツに代表される卵料理は定番人気。ミシュラン・ガイドにも掲載。シカゴのソウルフードとさえ呼ぶ人もいる。
Lou Mitchell’s Diner(ル・ミッチェルズ)
“SWEET HOME CHICAGO”を代表するスイーツ
1921年創業、4世代続く自家製チョコレートとアイスクリームの専門店Margie’s Candies(マージース・キャンディース)。チョコ40種、アイス30種の全メニューは人工保存料を一切使用しないナチュラル素材で作られている。
大きな貝殻型の器に盛られたサンデーは、見た目のボリュームのわりにあっさり。気がつけば完食!創業当時のままの店内は100年前にタイムスリップしたかのよう。
多くの有名人が訪れており、1964年から65年にかけてビートルズとローリングストーンズがメンバーと関係者で訪れ、店内でサンデーを食べた記録が残っている。そのほか地元のマイケル・ジョーダン、甘いもの好きエルビス・プレスリー、アル・カポネと、来店者もかなりのレジェンド。
Margie’s Candies(マージース・キャンディース)
シカゴカブスに呪いをかけたヤギは店主のペット
Billy Goat Tavern(ビリー・ゴート・タバーン)はギリシャ移民のビリーが1934年に開業したチーズバーガー(と「コーク」:コカ・コーラ)一択の店。
1945年ビリーがペットのヤギをシカゴ・カブスの試合に連れていった際、それまで許されていたペットのヤギの入場を拒否される。そのことに腹を立てたビリーが「2度とカブスはワールドカップで優勝できない」と言い放ち、その後2016年までカブスはワールドシリーズで優勝できなかった「ヤギの呪い」はあまりにも有名。
しかしこの店がブレークしたきっかけはシカゴ出身のコメディアン、ジョン・ベルーシが人気コメディー番組『サタデー・ナイト・ライブ』でビリーのギリシャ訛りの英語を「チーズバーガー、チーズバーガー、チーズバーガー」といじったことから。
それ以降店ではそれを真似し、「チーズバーガー、チーズバーガー、チーズバーガー」と、チーズバーガー(とコーラ)のみを注文するお客が殺到したというわけ。
次回、あなたも「チーズバーガー、チーズバーガー、チーズバーガー」とオーダーしてみる?あ、でも注文するより先に(どうせあなたも)「チーズバーガーでしょ?」と店の人から聞いてくるけどね。
Billy Goat Tavern(ビリー・ゴート・タバーン)
写真:尾嶝太
取材・文:山下マヌー