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足立美術館の庭園 米誌で21年連続日本一に選定される美しさ

足立美術館の庭園 米誌で21年連続日本一に選定される美しさ

TRAVEL 2024.04 奥出雲特集

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体感する無二の美術館 日本庭園で時を忘れる

木炭を売り歩くことから事業をはじめ、後に刀剣事業などに携わる。戦後は、繊維問屋などで財を築いた足立全康、その人が手塩にかけて創設した足立美術館。遠景、中景、近景を組み合わせた圧倒的眺望は、四季折々の姿を見せ、来訪者はただ息をのむ。

春を待つ「枯山水庭(かれさんすいてい)」。米国の日本庭園専門誌で、2003年から21年連続で日本一に選定されるのも納得だ。

庭園もまた一幅の絵画である 変幻自在にして花鳥風月

全康は、とりわけ横山大観に心酔した。約120点を誇る大観コレクションは国内屈指の規模を有し、数々の名画を多くの人に楽しんでほしいーー、そうした願いから、美術館に足を運んでもらうため、庭園そのものが日本画を想起させるよう創意工夫を凝らした。「庭園もまた一幅の絵画である」。アイデアマンであり、人を驚かせることが好きだった人柄が、庭園を通じて伝わってくる。

「墨には五彩がありと申すが、墨はたゞ黒一色でありながら其中には濃淡渇潤の千変万化があり、(中略)肉眼で観る以上に心で読むことを必要とする芸術なのである」とは、大観の言葉だ。見る者の心に届く、全康が作り上げた世界。5万坪の日本庭園で、時間を忘れる。

館内の窓が、そのまま絵画となる「生の額絵」。樹齢100年を超えるクスノキと、奥に広がる枯山水庭のコントラストは、 来訪者にものの見方は一つではないことを教えてくれるかのよう。遠近、濃淡、動静。足立美術館は、“体験する”ことができる稀有(けう)な美術館だ。

春と秋の枯山水庭。季節によって表情を変える。

美術館としては珍しいであろう庭園部を有する同館。5名の専属庭師が、毎日、庭園の維持管理に努めることで、日本一の美しさは完成する。

足立美術館

島根県安来市古川町320

https://www.adachi-museum.or.jp/

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写真 久保田光一
取材・文 我妻弘崇
編集 高田真莉絵
写真提供 足立美術館

<奥出雲への翼> 奥出雲へは東京(羽田)などからANA便で米子鬼太郎空港へ。空港から「日刀保たたら」までは車で1時間30分。

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