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日本刀からアクセサリーまで 鉄の聖地・奥出雲たたらの革新的な展開

日本刀からアクセサリーまで 鉄の聖地・奥出雲たたらの革新的な展開

TRAVEL 2024.04 奥出雲特集

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玉鋼が導く伝統と新しい挑戦 たたらの希望を感じて

現代の鉄鋼は、溶鉱炉などに鉄鉱石とコークスを投じ銑鉄(せんてつ)をつくり、溶けた銑鉄を転炉に移して鋼を大量につくる。だが、この方法では不純物が残るため、しなやかかつ強靭な日本刀の原料にはなりえない。人の力で浸炭させ、程よい炭素量を含む鋼を生み出すたたらでしか実現できないのだ。良質な砂鉄と豊かな木材を育む中国山地。環境条件に適していたからこそ、奥出雲は鉄の聖地となった。

自然冷却された「鉧」は、鋼造(かねづくり)場を経て、玉鋼、目白(めじろ)、歩鉧(ぶけら)などに分別される。玉鋼はこぶしほどの大きさに。最上級の玉鋼は「反り」のある日本刀の作刀に不可欠であり、「日本刀の美しさや意味合いを未来に引き継げるよう努力しております」と小林俊司刀工(刀工銘・貞俊)は語る。伝統の結晶。ゆえに、美しく力強い。

奥出雲たたらと刀剣館

島根県仁多郡奥出雲町横田1380-1

https://okuizumo.org/jp/guide/detail/208/

Google Map

目の前で展開される作刀。毎月第2日曜日・第4土曜日(10:00~、13:00~)に、小林刀工による日本刀鍛錬実演を見学することができる。たたら製鉄の構造や背景も学べる。

鉄の聖地・奥出雲 たたらの文化を紡ぐ

現在、町ではたたらの文化を紡いでいくために、「奥出雲たたらブランド」と題して、玉鋼を使用したさまざまな製品を発信する。砂鉄を採取するために削った山肌は、後に再利用され、米やそばを作る田畑へと生まれ変わった。奥出雲は、たたらと共に歩みを重ねてきた町。神話の時代からあっただろう風景が、現代と見事に調和する。

斐伊川源流の清らかな水もあって、そばは町の名産に。しっかりとしたコシのあるそばは食べ応え十分。風味も香る。

ピアスやネックレスなどに生まれ変わった玉鋼のアクセサリー。形状、輝き、一つとして同じものはない。デザイナーの磯田菜保子さん(Mullein)は、「玉鋼という素晴らしい伝統を身近なものに感じてほしい」と微笑む。

砂鉄採取のために山を切り崩す際、鎮守の社や墓地などの神聖な場所は残した。この残丘は、たたらが行われていたことを示す生き証人だ。

写真 久保田光一
取材・文 我妻弘崇
編集 高田真莉絵

<奥出雲への翼> 奥出雲へは東京(羽田)などからANA便で米子鬼太郎空港へ。空港から「日刀保たたら」までは車で1時間30分。

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