カツオ、鮎、酒――高知を訪れて知る静かな贅沢 美味と酒を囲む“おきゃく”の文化
高知で出会うカツオや鮎は、どこか違う。味の濃さだけでは説明できない、その理由は風土と人の関係にある。素材の個性を引き出す料理人、清流や海がもたらす恵み、そして酒を囲む“おきゃく”の文化。それらが重なったとき、食は単なる料理を超え、この土地ならではの体験へと変わる。
高知が胸を張れるすべてを。自分の料理で、料理の世界を好きになってもらいたい
カツオは噛んでこそうまい。肉厚な身を噛み締め、その贅沢な咀嚼(そしゃく)と酒に時を忘れる。

岡添将人さんの店「将人(まさひと)」は、完全予約制。料理人の想いを独り占めできる。高知の一級品を揃え、ほぼ独学で磨き上げた料理を皿に込める。

【上】岡添さんは居酒屋で料理に触れながら独立。「座屋」から始まった岡添さんの店は開店から瞬く間に人気店となった。現在、スペインにも店を構える。ヨーロッパを歩く中で、高知と同じ空気を感じた場所だという。今後も展望が止まらない。


【左】金目鯛のゆうあん焼き。金柑、ゆずおろしの香りがたまらない。
【右】ウツボの白和え。ふんわりと仕立てられたウツボはまるで鰻のような食感。四万十の鰻で作られることも。白和えとの相性に目を見開くおいしさ。
「自分の料理で、料理の世界を好きになってもらいたい。なんでも最初の出会いって大事ですよね」高知から世界に目を向け、道を切り拓く。

岡添将人(おかぞえまさひと)
将人
088-824-1308
https://masahito-izariya.com/
Instagram @masahito_izariya
完全予約営業制。2階「座屋本店」は通常営業。

一方、川あいに佇(たたず)む「うを兼(かね)」も完全予約制でその客のためだけに仕込まれる。百余年続く鮮魚店の家に生まれた岡﨑さんが、店を畳み、本格割烹を開店。魚の命を料理へと昇華させる。



【左】鰻はタレも絶品だが白焼きもまた香りよくおいしい。
【右】蕪蒸し。岡﨑さんの和食は京都での修業が滲み出る、奥深くやさしい味わい。
【上】岡﨑さんは鮎漁師でもあり、仁淀川漁業協同組合の理事も務める。初めて食べる鮎の刺身にも感動。
「自宅で食事しているつもりで“非日常”を味わってほしい。その想いだけ。和食のすべてはSDGsなんです。魚で言えば骨、皮、わたまでがごちそう」高知の恵みは職人の覚悟によって磨かれる。

岡﨑裕也(おかざきひろや)
魚兼 うを兼
明治26年、四万十の山から恵まれた、栗の焼酎造り

高知では人が集まり、杯を酌み交わす席を「おきゃく」と呼ぶ。魚をつまみ、酒を回す。その賑(にぎ)やかな時間までもが、土佐ではごちそうなのである。
高知ならではの酒に「栗焼酎」がある。四万十の栗焼酎「ダバダ火振」は、昭和60年ごろ、規格外で廃棄される栗を活用しようと、町長からの相談で誕生した。また、銘酒「酔鯨(すいげい)」は芳醇辛口な味わいが長く愛される。


近年は多くの人に届くよう、運転手や子どもも楽しめるスイーツも。どの蔵も仕込み水は高知の豊富な水と大地に支えられている。

SUIGEI SAKE LAB CAFE
撮影 Bourbon
取材・文・編集 中野桜子
<高知への翼>
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