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シラスを追い、魚を突く――泳ぎに選ばれた土佐の海人が知る“命の距離”

シラスを追い、魚を突く――泳ぎに選ばれた土佐の海人が知る“命の距離”

TRAVEL 2026.05 高知特集

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高知・須崎の海の価値は、魚種の豊かさだけでは語りきれない。ドロメ漁で土佐湾を駆け、魚突きでは素潜りで20メートルの海中へ潜る。群れをすくう漁と、一匹と対峙する漁。その両方を行き来するなかで見えてくるのは、魚との適切な距離だ。獲りすぎないという選択が、海の豊かさを未来へつないでいる。

泳ぎは得意だった。おのずと海に呼ばれていました

須崎の海はカツオ、マグロ、伊勢海老やドロメ(シラス)など魚種が豊富。この湾に「海人(うみんちゅ)」といわれる漁師がいる。

森本嘉征(よしまさ)さんはドロメ漁と魚突き(スピアフィッシング)の二刀流。夜明けの土佐湾でドロメの群れを見つけ、船を走らせること5時間、最後はタモ網で一気に何籠も揚げる。一方この海域は、一本釣り、手釣り、素潜りなど「魚と一対一で向き合う漁」も多い。

【上】ドロメは、土佐の方言でカタクチイワシの稚魚(シラス)のこと。11~4月頃が漁の最盛期。生で食べられるのは地元の人の特権!

なかでも魚突きは、潜水能力と魚の習性理解、海況判断が必要とされ、魚と同じ水深20mの世界で素潜りする原始的な漁だ。嘉征さんと目が合った魚は最後、百発百中で痛快にヒット。見事に身を傷つけない。嘉征さんは卒業後様々な職を経験したが、特技を仕事に漁師に行き着いた。「昔から泳ぎだけは誰にも負けなかった」。天性の技量を今日も海で揮(ふる)う。

須崎うみんちゅ 嘉征

得意のスピアフィッシングとドロメ漁をメインに、高知県須崎市で漁師をする。

YouTube〈須崎うみんちゅ 嘉征〉

Instagram @yoshi___7478

【上】須崎魚市場のセリ。毎日朝9 時頃から威勢のいいかけ声が響く。水揚げされたての魚を求めて市内外の卸業者が買い付けに来る。

【上】黒潮の流れを受け温かな海水が流れ込む土佐湾では、季節ごとに多種多様の海産物が水揚げされる。全国一のカツオが有名。また、ウツボも漁獲量一位。「海のギャング」と称される見た目だが、味わいは白身魚や鰻のような食べやすさ。たたきや唐揚げとして、高知中の居酒屋で食べられる。

県内の飲食店では生でドロメを食べられる。釡揚げと生シラスの丼。

活魚 漁ま

高知県高知市南久保1-2

088-856-5037

https://ten-g.co.jp/

撮影 Bourbon 
取材・文・編集 中野桜子

<高知への翼>
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