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料理人が指名する高知の塩 汽水が生む“無数の味”の理由

料理人が指名する高知の塩 汽水が生む“無数の味”の理由

TRAVEL 2026.05 高知特集

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料理人がこの塩を指名する理由は、味が均一ではないことにある。地下海水と仁淀川が混ざる汽水では、日々条件が変わり、結晶ごとに個性が生まれる。田野屋銀象さんは、その違いを読み取り、味や口溶けを設計する。自然と職人の感性が重なることで、無数の味が立ち上がる。

手塩にかけて365日 気候や塩の状態を見極め 結晶と対話する

田野屋銀象(たのやぎんぞう)さんが白銀の世界で対話する相手は「塩」。

この「結晶ハウス」に並ぶ木箱の塩は、それぞれ状態が違う。全国の料理人からオーダーが寄せられるのだ。「気温や日照時間、同じ条件の日もなければ、目指すゴールも違うので、毎日自分の目で世話をする必要がある」と言う。

田野屋塩二郎(たのやえんじろう)氏に師事し、2021年、26歳で独立。銀象ソルトに欠かせないのが、場所選びだった。

ここは地下海水に仁淀川の水が混ざり合った奇跡の場所といえる。ミネラルが豊富で繊細な味を引き出せるが、塩分濃度が低いぶん時間も手間もかかる。石油やガスを使わず、太陽の力だけで結晶化させる「完全天日塩」だ。

職人だけがわかる「塩の声」を聞き、味わいや舌触り、口溶けを設計する。海水、太陽、そして職人の感性が、ゼロから無数の味を生む。

海水と淡水が混ざった「汽水」は、結晶ハウスの前に、塩分濃度を上げる特殊な循環室へ。こちらも太陽熱だけで水分を蒸発させる。自然環境を最大に生かすビニールハウスは真夏は特に過酷な状態での作業となる。

塩杜氏 田野屋銀象

高知県土佐市新居129-1

https://www.ginzo-salt.com/

Instagram @ginzo_salt

代表的な塩は4種類。その口溶けを味わえば、魚、肉、野菜、下味、それぞれに合う塩が違うのがわかる。オンラインまたは高知空港で購入できる。

撮影 Bourbon 
取材・文・編集 中野桜子

<高知への翼>
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