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スピードスケート発祥の地・オランダで五輪メダリストが見た“真夜中の夕陽”

スピードスケート発祥の地・オランダで五輪メダリストが見た“真夜中の夕陽”

LIFE STYLE 旅の出会い

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才人が旅先で出会った忘れえぬ光景を綴る。今回はミラノ・コルティナで3大会連続のメダル獲得を目指すこの人。

佐藤綾乃

1996年生まれ、北海道出身。中学、高校ではスピードスケート女子1500メートルと3000メートルで日本一に。高崎健康福祉大へ進学後、女子団体追い抜き(チームパシュート)で頭角を現し髙木菜那、髙木美帆と挑んだ2018年の平昌で、冬季オリンピック日本女子史上最年少の金メダリストに。同じメンバーで2022年の北京大会にも出場し銀メダル。来月のミラノ・コルティナオリンピックでは2大会ぶりの金メダルを目指す。2019年、ANAに入社した“社員アスリート”でもある。

オランダ・ヘーレンフェン

私にとって、もっぱら旅とは遠征のことですが、とくに印象深かった“旅先”を問われたら、それは間違いなく、スピードスケート発祥の国・オランダと答えます。10代の最後に“旅”したオランダこそが、私の競技者人生の分岐点になった場所だと、確信しているからです。

2016年、当時19歳だった私は、初めてナショナルチームに入ってワールドカップに参戦しました。そして、やはり初めて訪れたオランダで、幾つもの驚きと感動の体験をしました。

まず、最初に驚かされたのが、昼の長さでした。「ヨーロッパは日がとても長い」とは聞いていましたが、これほどまでとは思いませんでした。今回、掲載していただいている写真、まるで夕刻のように見えると思いますが……。移動の車内から見た落陽の美しさに思わずシャッターを切ったのは、すでに午後11時を回ったころ、そう真夜中なのです。

そして、大会に出場するため、北部の町・ヘーレンフェーンのスケートリンクに初めて立ったときも、大きな衝撃を覚えました。

スピードスケートが国技のオランダ。その人気はすさまじくて、1万人以上が収容できる観客席は超満員でした。お祭り騒ぎのような大声援を背にしながら滑るというのも、私には初めてのことでした。そして、そのリンクで、チームパシュートのメンバーとしてレースに出ることができた、その経験が私の背中を強く押してくれました。そのレースがきっかけとなって、私は心の底から「オリンピックに出たい!」と思うようになったのです。

翌年、同じヘーレンフェーンのリンクで、私たちは強豪の地元・オランダに勝って優勝し、世界記録も樹立。そして、その勢いのままに、 平昌(ピョンチャン)では日本史上初の金メダルを、その次の北京では銀メダルの獲得に至るのです。

今年のミラノ・コルティナで3大会連続で表彰台に登れたら、いや、いちばんいい色のメダルを獲ることができたとしたら……その端緒はここ、オランダ・ヘーレンフェーンにあったと、私はそう思うのです。

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