手土産にもぴったりの佐賀「北島の丸ぼうろ」 古賀及子さんの思い出の味
食いしん坊の方々が出合った、とっておきのお取り寄せを教えてもらう連載。暮らしを幸せにしてくれるあの味を求めに、旅をしたくなることでしょう。
三世代の大切な記憶が息づくこれからも守っていきたい素朴な味。

ささいな日常のひとこまをすくい上げ、子どもたちとのやりとりを軽やかに綴る文体が評判を集め、「日記本」を次々と送り出している、いま注目のエッセイスト・古賀及子(ちかこ)さん。
著書のなかにも食の場面がたびたび登場する古賀さんが、「家族の思い出がぎゅっと詰まっている」と教えてくれたのが、佐賀に本店を構える『北島』の『丸ぼうろ』だ。
この『丸ぼうろ』は、17世紀初頭にポルトガルから伝わった焼き菓子をルーツに持つ、素朴な一品。佐賀では長く愛されてきた味だという。
「佐賀出身の祖父が好きで、祖父の家に遊びに行くたびによく食べさせてもらっていました。祖父は甘いものに目がなかったらしく、お世話になった方々にこの『丸ぼうろ』を贈っていたそうで、お歳暮の時期には、毎年のように我が家にも必ず届けてくれたんです。
気がつけば1歳を過ぎたころから食べ続けていて、もう40年のお付き合い。きょうだいで取り合いになって、弟が5つも一気に食べて家族全員を驚かせたこともありました(笑)。そんなふうに思い出がいくつも重なっているから、口にするたびに当時の光景がふっとよみがえるんです。
『丸ぼうろ』は見た目こそとても素朴なのに、茶色の化粧箱やボーダーのパッケージがどこか端正で、そのギャップにも惹かれます。
子どもの頃はただおいしいお菓子として食べていましたが、大人になるほど、家族が大切にしてきた味がそばにあることが嬉しく感じられるようになりました。手土産に持っていくと必ずエピソードが添えられるのも魅力です。
いつか佐賀を訪れることがあれば、『北島』の店先に立ち寄って、『丸ぼうろ』を自分の手で選んで帰る、それが私のささやかな夢です。
それまではお取り寄せをしたり、デパ地下で見つけたときに買い求めたりしながら、この味を変わらず楽しんでいきたい。そして、祖父がそうしていたように、私も折にふれて友人たちへ贈り、思い出と一緒にこの味を届けていけたらと思っています」

『北島』の『丸ぼうろ』
創業元禄9(1696)年。当時習った南蛮菓子の製法を今も忠実に守っている。厳選された小麦粉、砂糖、鶏卵の材料から生み出されるやわらかく、口溶けのよい味わいが人気。
10個入り 1,188円
https://shop.marubolo.comから取り寄せ可能。
古賀及子
エッセイスト。2003年よりウェブメディア『デイリーポータルZ』に参加。2018年より日記の公開をはじめ、評判を呼び、日記本を続々と刊行。新刊は『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』(晶文社)。
撮影 江原隆司
取材・文 高田真莉絵
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