ビフカツ好き必見 岐阜の古民家レストラン「洋食つばき」至福の一皿
「洋食つばき」は岐阜市の郊外、静かな山の麓(ふもと)にあります。築150年超の古民家を改装した風情あるたたずまいの店で供されるのはハンバーグにグラタン、オムライス、ステーキなどなど、誰もが思い描くクラシカルな洋食店のメニューそのもの。ですが、そのすべてが、こちらのイメージを遥かに凌駕(りょうが)してくるおいしさなんです。
なかでも、私のお気に入りはビーフカツ。大阪人的に言えば「ビフカツ」ですが、これまた絶品で。昨今、巷にはカツレツをさまざまなバリエーションの塩で食べさせるなど、ひと工夫もふた工夫もする店が増えましたが、ここではそれもありません。
オーソドックスに、洋食店の要であるデミグラスソースでいただく、これまで幾度となく口にしてきた“正攻法”。それなのに、これまで食べたどのビフカツよりも、格段においしいんです。
薄い衣はサクサクで、肉の赤身と脂身のバランスが絶妙で、口に入れた途端にとろけてなくなる……ああ、こうして思い出してしまうと、いますぐにでも食べたくなる。もう、私の脳が涎(よだれ)を垂らさんばかりに美味なのです。
デザートには、私は必ずプリンをいただきます。これまた、昔ながらの少し硬めの正統派、それなのに、やっぱり私史上歴代1位のおいしさです。
日ごろ、大阪と東京を拠点にしている私には、この店の立地は少々不便。それでも、数カ月に一度は行きたくなる、いや、列車で最寄り駅を通過しながら、飛行機で上空を飛びながら、この店で味わう至福の時間を思い出しては「やられた……」と呟(つぶや)き、ため息を漏らしてしまうのです。
今月はダリアをメインに紅白の装花を作りました。新年を寿(ことほ)ぎつつ、あの、ビフカツの赤身と脂身を思い出しながら。

赤井勝(あかい・まさる)
1965年、大阪府生まれ。花を通じ心を伝える自らを「花人」と称し、自身の飾る花を「装花」と呼ぶ。2008年、北海道洞爺湖サミット会場を花で飾り、2013年、伊勢神宮式年遷宮では献花を奉納。2017年、フランスのルーブル王宮内パリ装飾芸術美術館で開催の「JAPAN PRESENTATION in PARIS」でも桜の装花を担当した。昨年、大阪府堺市に「Akai Masaru Art Museum」をオープン。
編集 仲本 剛
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