箱根・富士屋ホテル「まるでクラシック映画」を体感する旅 全館修復経て繋ぐ歴史
2年かけた全館改修のテーマは“修復” 五感で歴史を感じる旅って素敵です
「サウナは単なる熱い箱じゃない」。私がそう言い続けている理由は、真のサウナのよさは“五感”で味わうことが大切だと信じているから。水や泉質のよさだけでなく、舌を刺激するお料理や、目で癒される部屋のしつらえなど、実は、サウナ以外の要素も大切なのです。
明治11年創業。箱根・宮ノ下に建つクラシックホテル「富士屋ホテル」は、明治の洋風建築から戦後モダニズムスタイルまで、一つの敷地に時代の異なる建物が融合されています。
ダイニングルームは和洋折衷の美を演出
回転扉を抜けて広がるのはクラシック映画に入り込んだような異空間。柱や欄間(らんま)など随所に見られる彫刻は、アート好きの私の胸を躍らせるには十分すぎるほどの芸術品です。一つひとつの意匠の物語が知りたくて、「イヤホンガイドを設置してほしい!」と感嘆するほど。
「2018年から約2年かけてホテル全館を改修した際のテーマは“復元”。伝統ある建物の特徴と価値を最大限に引き出すような修復を目指しました。また、レストランの洋食メニューも代々受け継がれるレシピを継承。伝統の味をお楽しみいただけます」(総支配人)
絵画のような風景で美術館にいる気分
新設されたスパゾーンに備えられたサウナの後は大浴場での温泉浴だけでなく、客室の源泉100%の温泉で締めるのが私のおすすめ。
温泉やサウナを楽しみ、歴史ある建築物に触れる。そんな五感で楽しむ旅もいいものです。
富士屋ホテル
日本初の本格的リゾートホテル。明治時代に建てられた本館はじめ旧御用邸の菊華荘など7つの建築物が国の有形文化財に登録された。全ての部屋で風呂の蛇口をひねると名湯・宮ノ下の源泉かけ流しの温泉浴が楽しめる。
神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
0460-82-2211
サウナトータルプロデューサー 笹野美紀恵
サウナ・温浴施設プロデュースのほか医療機関と連携し、新しいウェルネスの形を提案している。実家の静岡「サウナしきじ」を“聖地”と呼ばれる唯一無二の存在に育て上げた。
写真 木村哲夫
編集 服部広子