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佐賀「嬉野茶 3」お茶づくしの宿の茶風呂と茶会席~Deportare Trip vol.9

佐賀「嬉野茶 3」お茶づくしの宿の茶風呂と茶会席~Deportare Trip vol.9

LIFE STYLE DEPORTARE

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飲んで、食べて、浴びて 日本初の茶風呂を始めた宿の茶づくしの料理に舌鼓

「嬉野はもちろん、日本全国のなかで当館が最初に茶風呂を始めたんです。茶農家の友人とお茶を使った商品やサービスが何かできないかといろいろアイデアを出し合っていたとき、茶カテキンには殺菌・抗菌作用があり、生活習慣病や肥満を予防してくれるので引き締め効果も期待できる。ビタミンCが含有されているので美白効果もあるという話になって、それでお風呂にお茶を入れようということになったんです。オープンしたのは平成8年でした」

そう語るのは、「茶心の宿 和楽園」の代表取締役・下田高嘉さん。大浴場の露天茶風呂「緑泉」は、温泉脇にある石で作られた急須からお茶エキスがたっぷりのお湯が注がれている。急須の横には、お茶パックも常備されているのが嬉しい。

「お客様がパッティングされていると、パックを絞ったときに湯船の湯もだんだん濃くなっていきます。お車を運転されてきたお客様など、目の疲れが気になる方は、お茶パックで目を温めていただくのもおすすめです。お茶の香りでリラックスしていただけると思います」

飲んで、食べて、浴びて、嬉野の名産のお茶をさまざまな形で楽しめる和楽園。嬉野茶をふんだんに使った「茶会席」や「茶粥」なども堪能できる。和楽園オリジナルのお茶をすりこぎ棒で擦る「お茶すり」は、ここでしか味わえない体験だ。

「茶会席は、季節に合わせた旬菜に嬉野茶の緑茶、ほうじ茶、紅茶などを組み合わせ、嬉野ならではの味覚を提供しています。お茶はお魚やお肉の臭(くさ)みを消してくれるので、しゃぶしゃぶにもピッタリだと思います。お茶すりはお好みで擦っていただいて、お造りなどにパラパラとふりかけていただいて、お茶の香りや風味を楽しみながら食べていただくのもおすすめです」(息子の下田啓登さん)

佐賀牛を嬉野茶でしゃぶしゃぶする『お茶しゃぶしゃぶ』は、お肉自体もとろけるようにやわらかいが、お茶にくぐらせることで余分な脂を全く感じない。嬉野茶と有明海の海苔を合わせた『嬉野茶葉海苔』はごはんにもぴったり。どれもこれも人生初体験のお料理に舌鼓を打ちつつ、お茶を使うことで料理の素材そのものの美味しさがより引き立てられていることに感動した。

「茶心の宿として、お茶づくしというのは一つのコンセプトとしてやってきました。今後、さらに宿のカラーを出していくために、茶師の茶屋二郎さんという茶農家さんのお力をお借りして、“お茶を五感で体感できる宿”というものを目指したいと思っています。加えて、地域貢献として嬉野茶と肥前吉田焼といった地元の産業とお客様がつながっていただけるハブとしての宿。この二つをテーマに宿づくりをしていきたいと思っています。」

館内には、茶屋二郎さんによる茶寮&バーが設けられている。ビールやハイボールを嬉野茶で割る「茶ビール」や「ほうじ茶ハイボール」は、一度味わったら忘れられない美味しさだ。そのほか、4月にリニューアルオープンした客室には、吉田焼の陶片を使ったアートを壁に飾るなど、地域産業の広告塔として一役買っている。

リニューアルオープンした客室「朧月」。床に映った月の陶片アートがまさに「朧月」のよう。

「一部欠けやヒビが入ってしまった陶器や陶片は、産業廃棄物として捨てられてしまいます。その陶片や製品になれなかった陶器を客室内の装飾として、アートにすることで地域資源の有効活用に繋がれば、と。SDGs的観点で地域経済を回すというのも、地域の持続可能な開発に繋がっていくと思います。そして何より、お客様が陶片を見て吉田焼や嬉野の産業に関心を持ってくださって、窯元さんのもとに訪れたり、器がほしいと思っていただけるようになるといいですね」

リニューアルオープンした客室「満月」。31枚の吉田焼が並ぶ装飾はまるでギャラリー。

茶心の宿 和楽園

佐賀県嬉野市嬉野町下野甲33

TEL 0954-43-3181

6月19日から6月30日まで館内の保全工事のため、全日「休館日」となります。

https://www.warakuen.co.jp

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撮影:大串祥子 取材・文:竹下雄真 編集:服部広子