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日比国交正常化70周年を祝すガストロノミー 帝国ホテル 東京で味わうフィリピンの美食

日比国交正常化70周年を祝すガストロノミー 帝国ホテル 東京で味わうフィリピンの美食

CULTURE

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『翼の王国』2026年5月号の巻頭で特集した「フィリピン 胎動する美食の新章」。これまで美食デスティネーションとしてのイメージがあまりなかったフィリピンの新たなガストロノミーの発展に、興味を覚えた方もいるだろう。

 写真1枚目 帝国ホテル提供

そんなフィリピンの「今の味」を東京にいながらにして味わえる「フィリピンフェア」が、「帝国ホテル 東京」の「インペリアルバイキング サール」で開催されている。

料理の監修は、駐日フィリピン共和国大使館の推薦シェフで、フィリピン料理のファインダイニング「Toyo Eatery(トヨ・イータリー)」オーナーシェフのジョルディ・ナバラさん。2025年10月にフィリピンに初上陸した『ミシュランガイド マニラおよび周辺地域&セブ 2026』で一つ星に輝き、「アジアのベストレストラン50」にもランクインを続けている、フィリピンを代表する料理人だ。

ジョルディさんは10年以上にわたって日本のシェフや生産者、職人といった食文化に携わる人たちと親交を深めてきた経験があり、日本の食への造詣が深い。「店名に冠した『トヨ』はフィリピン語で醤油のこと。フィリピン料理の味つけの基本となる調味料です。また、フィリピン人の主食は米で、食事には欠かせません。醤油味のおかずとご飯を一緒に食べるという食習慣が日本と共通するフィリピン料理を、日本のみなさまにも楽しんでいただけたらと願っています」と話す。

ジョルディさんがプロデュースしたのは、料理5品とドリンク2品。フィリピンから輸入した食材を使って現地の味をそのまま再現するのではなく、「これからますます深まる日本とフィリピンの友好」に思いを込めて、日本の食材に敬意を払いつつ今のフィリピンらしさが伝わるモダンな味づくりに向き合った。

「帝国ホテル」総料理長の杉本雄さんをはじめ、「帝国ホテル 東京」の料理人たちとの意見交換もおおいに役立ったという。

例えば「ツナキラウ」は、魚介を酢や柑橘類でマリネする伝統的な郷土料理「キラウ」にジョルディさんが大好きだという日本のマグロを使い、酸味がやわらかい日本の米酢を合わせた。

豚の頬肉や耳を細かく刻み、香味野菜と共に強火で炒めた「ポークシシグ」は、フィリピン人のソウルフード「シシグ」をアレンジしたもの。フィリピンではカラマンシーという小さなオレンジのような柑橘が欠かせないが、ここではより酸味がフレッシュでさわやかなシークワーサーを用いた。

ユニークなのがフィリピン人の朝食スタイルをアレンジした「アドボシログ」。

朝食からガーリックライスをもりもり食べるフィリピン人に親しまれるパワフルな味わいを日本らしく表現しようと、日本の醤油で香ばしく炒めたガーリックライスに、やわらかな鶏肉の「アドボ」をトッピングして温泉卵を添えた。

デザートはじっくり蒸したサツマイモを串に刺した「カモテキュー」とマドレーヌのような焼き菓子「カバヤン」で、どちらにも仕上げに伝統的な製法でつくられた特別な塩「アシン・ティブオク」が使われている。

ボホール島で、効率化が求められる時代にすべて手作業で製造されるこの塩は消滅の危機にあったが、ジョルディさんがその価値を見出し、アジアを中心に世界へ発信した。ジョルディさん自ら日本のシェフを製塩場まで案内したこともある。そんな活動が評価され、2025年12月にはユネスコ無形文化遺産に登録された。


「帝国ホテル 東京」総料理長の杉本雄さんは、「伝統への敬意と新しい発見をひと品に込め、おいしさだけでなく、その料理の背景にある文化や物語まで感じていただける体験を、お客様にお届けしたい」と話す。いわば日比共作のここでしか味わえない、モダンフィリピン料理の誕生だ。

「私自身、フィリピン料理を知ることで多くの学びを得ることができました。今後もより深くフィリピン料理を知っていきたい」と杉本さん。その言葉を耳にして、ジョルディさんは次のように応じた。「料理を通じて両国の人たちが、理解と友好を深めていくことが私の願いです。いつか杉本さんもぜひフィリピンにいらしてください」

インペリアルバイキング サール

東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル 東京 本館17F
https://www.imperialhotel.co.jp/tokyo/restaurant/sal

日本とフィリピンはANAの翼が毎日直行便で結んでいる。「インペリアルバイキング サール」でフィリピン料理に親しみを持ったなら、現地でさらに美食体験を深めるためにフィリピンへ飛び立とう。

写真・文 江藤詩文
編集 山下美咲