「世界一幸福な動物」に会いに行く〜豪州凝縮WESTERN AUSTRALIA-4
西オーストラリア州のアイコンともいえる生き物といえば、それはもうクオッカに決まり。本来はオーストラリア本土の西側、現在の西オーストラリア州沿岸部一帯に生息していたオーストラリアの固有種。ところが、ヨーロッパ人の入植や野犬による捕食などの影響で本土ではほぼ絶滅したとされ、現在はパースの南に浮かぶロットネス島に生息している。
フリーマントルの港から船で約30分の距離にあるロットネス島は、まさにクオッカアイランド。その理由として考えられるのは天敵である野犬がいなかったことと、アカシアの低木林や塩性湿帯などクオッカにとって適した環境が整っていたから。クオッカはどんどん繁殖し、現在島に約1万匹が生息している。だから島に行けば必ず会うことができるし、近くに寄ってきてくれることだってある。因みに、クオッカだけがロットネス島の魅力というわけではなく、ビーチもかなりの美しさ。なので、水着持参で出かけることをオススメする。
クオッカに会えば、あの笑顔にやられること間違いなし。常に口角が上がっていて、まるで笑っているような表情は、「世界一幸せな動物」と呼ばれる所以。笑顔の表情は穏やかな性格からきているとされ、微笑んでいるように見えることや、友好的な性格がこちらを和ませてもくれる。ただし、クオッカと触れ合う際にはいくつかの注意点が。あくまで野生動物。無理に近づいたり触ったりすることは避けるべきだし、場合によっては噛まれることもある。可愛い姿に似合わず、噛む力は強く危険。当然、人間の食べ物を与えることは厳禁。
彼らに近寄ってきてほしいときには、草を差し出し彼らが食べに近寄ってくるのを待つという方法が良い。
オ−ストラリアを代表する動物いえば、クオッカと同様に育児嚢を持つカンガルーやコアラ。しかし今回特集している西オーストラリアにコアラは存在しない。その代わり(というもの変だけど)カンガルーとは頻繁に遭遇する。日常の暮らしの中で野生動物と出会うことなど滅多にない都会暮らしの人々にとって、歩いていて野生のカンガルーとバッタリというのは、相当に驚く。しかもお腹の袋から赤ちゃんが顔を出していたりするその姿は、クオッカに負けないくらいの愛らしさ。
現在クオッカは絶滅の危機には直面していない。とはいえ、彼らの生息地や環境を守ることが重要なのは言うまでもない。「世界一幸せな動物」に癒やされたくて、多くの観光客がやってくるロットネス島。幸い船の便数を大幅に増やすようなことはされず、オーバーツーリズムになることは防がれている。この先人々がクオッカに対して敬意を持ち、彼らの生息地を保護することが、彼らの未来を守る鍵となる。この島が彼らの最後の生息地であるということを理解し、「世界一幸せな」彼らを「世界一不幸」にしてはいけない。
写真・文 山下マヌー
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