高級店からローカル屋台まで。ベトナムで親しまれる絶品筍料理〜ベトナムと竹のしなやかな関係 vol.4
古くからベトナムの人々の生活と文化に深く関わってきた竹。国の発展によりそれに代わる利便性の高いものが増えても、新たな価値と存在感を放つ。そんな竹とベトナムの人々との関係を探る企画のvol.4として、おいしい筍料理を提供するレストランとその料理をピックアップ。
ベトナム人のソウルフード、バンブーグルメを味わう
「Uu Dam Chay」は、2016年オープンのベジタリアンレストラン。「炒めてもいいし、蒸してもいい。生でも食べられる。どこでも採れて保存もでき、調理方法も簡単。ベトナム人にとって筍は、伝統食材でありソウルフード」。ここでアシスタントマネージャーを務めるフォンさんはそう語ってくれた。
店のメニューにも筍は外せない。なかでも人気なのが「テットスープ」。筍、蓮の実、キノコなどの野菜を入れたもので、麺をつけて食べる。もともとは旧正月にしか食べない料理だが、人気のため通年のメニューに加えたという。同じく「スチームバンブーシュート」も人気のメニュー。筍をくり抜き、そこにキノコ、野菜、豆、トウモロコシなどを詰めたオリジナル料理。筍の酸っぱさと野菜の甘みが口の中でミックスして、「食感と甘酸っぱい味がたまらない」と評判。
Uu Dam Chay
筍スープを味わい、おいしく少数民族支援を
モン民族、ムン民族、タイ民族など、主にベトナム北部の少数民族料理を提供。「種類を選ばなければ筍はいつでも手に入ります。だけどうちは旬の時季の筍を、少数民族の村から仕入れています。なぜなら村人たちに収入をもたらすことで彼らの生活に役立ち、良好な関係が作れるから」と、スタッフのタインさん。そう言って出してくれた料理は、撮影時に旬を迎えた筍を使ったモン民族の筍スープだった。
A Ban
毎日使う竹、毎日食べる筍
国が貧しかった時代には茹でた筍に塩をつけて食べて、お腹を満たしたという。近年生活レベルが上がり、筍を家庭で食べることが少なくなったとはいえ、街中には相変わらずたくさんの筍料理店が存在し、筍を使う高級店も増えている。おそらくベトナムの人々の体の中には、筍を欲する何かがあるのだろう。だからきっとこの先も、筍は姿と質を変えつつ、この国の人々の心とお腹を満たしていくに違いないのだ。
写真:勝恵美 取材&文:山下マヌー コーディネーション:モアプロダクションベトナム 編集:山下美咲