パリで巡る写真文化 世界が注目するギャラリー・写真集専門店・老舗ブラッスリー
パリでは写真は作品である前に、人と人、過去と未来を結ぶ文化として息づいている。世界的写真フェアの選考委員を務めるギャラリスト、600万点の歴史写真を守るアーカイブ、写真集専門書店、写真家が集った老舗ブラッスリー──それぞれの場所で交わされた言葉を追うと、「写真とは世界との関係そのもの」という答えに近づいていく。

ここは、誰もが写真を撮りたくなる国、その一瞬を、永遠に残したくなる都
「現在」のパリで出会う 写真表現の「過去」「未来」

「写真とは“世界との関係”そのもの」
ゴティエ氏
日本人の母とフランス人の父のもと、パリに生まれたジャン=ケンタ・ゴティエ氏が2014年に創業。ここヴォージラールとオデオン、2つのギャラリーで主に写真作品を扱う。

毎年秋開催の世界最大規模の写真アートフェア「パリ・フォト」の選考委員も務める。
「森山大道さんの作品との出会いが写真に興味を抱く契機でした」(ゴティエ氏)。
じつはFHCBの森山展の仕掛け人でもある。今年秋には自身のオデオンのスペースでも森山展を開催予定

ジャン=ケンタ・ゴティエ(ヴォージラール)
Jean-Kenta Gauthier Vaugirard
「写真はトランスミッション、人と人、過去と未来を繋ぐ」
タケ氏
1938年、エレーヌ・ロジェ・ヴィオレ(上の写真、モニターの女性)が設立した写真エージェンシー兼ギャラリー。アマチュア写真家だったエレーヌの父が遺した膨大な写真資料や歴史的写真600万点を所蔵。なかには100年ほど前の日本をとらえたものも。

「1985年に亡くなったエレーヌさんは、全コレクションをパリ市に寄贈。現在は私が管理・運営を任されています」(代表、ジル・タケ氏)。
所蔵作品を主とした企画展も随時、開催している

ロジェ・ヴィオレ
Roger-Viollet
写真集の森を歩く

「写真はパッションの記録です」
サムー氏
創業46年の写真集専門書店。
「パリには多くの書店があるけれど、写真集だけを扱っている書店はうちだけではないかな」と語るのは共同経営者の一人、ジェンセン・サムー氏。
3500点もの写真集が店内に並び、世界中から多くの写真ファンが来店するほか、有名写真家たちも訪れる。


「ウイリアム・クラインやロバート・フランクもよく店に来てくれました。最近ではサラ・ムーンや、マイケル・ケンナも」

ラ・ヌーヴェル・シャンブル・クレール
La Nouvelle Chambre Claire
「写真はいつも僕を“逃避”に誘(いざな)う」
コテール氏
「僕、写真オタクです」と笑うクレマン・コテール氏が2008年に創業。日本人の妻・赤木伸江氏とともに営む書店兼ギャラリー。


「日本の写真家が好き」という夫妻。世界中から集められた多様な作品集のなか、日本人写真家の本が目立つ。
「なかなか海外に打って出られない日本の若手写真家の応援もしていきたい」(赤木氏)。
間もなく現店舗から至近の場所へ移転し、9月に新装開店予定。


ル・プラカール・フォト
Le Plac’Art Photo
往年の写真家も愛した老舗ブラッスリー
「写真とは撮影者の魂が形になったもの」
ドゥオ氏
モンパルナス地区に1847年創業。ヘミングウェイやピカソ、ランボー、さらにはレーニンといった文豪や芸術家、知識人が足繁く通った。


ハンガリー出身の伝説的写真家・ブラッサイは「Devant la Closerie des Lilas, Avenue de L’Observatoire」という名作を遺した。
「そのほか写真家ではマン・レイやロバート・キャパも来店。とくにマン・レイは常連の一人で、店には彼の名を刻んだプレートが貼られたテーブルも」(支配人、スティーブ・ドゥオ氏)

ラ・クロズリー・デ・リラ
La Closerie des Lilas
写真 一井りょう
撮影・取材・文 仲本剛
<パリへの翼>
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