シアトルで出会う港町のメルティングポット トランジットが楽しみになる街
モンタナへ向かう途中、数時間だけシアトルに立ち寄る。そんな短い滞在でも、この街の魅力は十分に感じられる。パイク・プレイス・マーケットを歩けば、観光客と地元の人々が自然に交わり、港町ならではの活気と穏やかさが共存する。シアトルは、旅の途中だからこそ立ち寄りたい街だ。

ゲートウェイとしてのシアトル。トランジットで楽しむ行くべき場所
モンタナへの最適なゲートウェイ都市、シアトルへは、日本からANAの直行便が便利だ。
モンタナへの入口であるのと同時に、アメリカ北西部の玄関口シアトルは、LAやNYといった巨大都市ではなく、どこか“控えめな都会”。アメリカ人が「一度は住んでみたい町」の上位に挙がる理由は、おそらく海と森がそばにあり、自然が溶け込んでいるからだろう。
高層ビルはあるのに、圧迫感はない。人も車も、どこか落ち着いているのだ。モンタナの大空へ向かう前に、この街の“柔らかい都会性”に触れておくことを勧める。シアトルの町はただの通過点ではなく、旅の“助走”のような場所。



シアトルで数時間でも自由があるなら、向かうべき場所はひとつ。パイク・プレイス・マーケット(Pike Place Market)。
空港からLink Light Railに乗り、最寄り駅のWestlake stationまでは乗り換えなし。迷わず行ける。駅から海側へと数分歩けば、過去に多くの映画やドラマにも登場した、あのマーケットの赤いネオンが見えてくる。わずか数時間のトランジット時間しかなくても、移動のストレスがなく到着できる。
マーケットはシアトルという街そのものともいえる。

パイク・プレイス・マーケットは、観光地でありながら、ローカルの生活もそのまま息づいているからだ。
観光客のざわめきと、地元の人の買い物が同じ空間で混ざり合う。そのメルティングポット感こそが、シアトルらしさの核心でもあり、それをこのマーケットで感じ取ることができる。
マーケットでやるべきことはいくつかある。多少ガイドブック的にはなるが、お約束ともいうべきことで、逆にいえば、やっておかないと後悔することになる「シアトル体験」。
やるべきこと1:宙を舞う魚を見る

マーケット中央の魚屋では、スタッフが大声を掛け合いながら、大きなサーモンを空中で受け渡す。この光景を見ることは、ここでの最大のお約束。
人々が集まり群衆ができ、その中の誰かが注文をすると一瞬の“儀式”が始まる。ただのパフォーマンスではなく、この街の海と人の距離感がそのまま表れているようでもある。
やるべきこと2:世界で最も不衛生な場所、ガム・ウォールの“混沌”


マーケットの裏手にあるGum Wall。かつてとある調査で「世界で最も不衛生な場所」にランクインされたこともある場所だ。
壁一面に貼りつけられた無数のガムは、美しいとも汚いとも言い切れない…いや冷静に考えればやはり汚い。それでも不思議な存在感と「美」を放っているから不思議。そんな観光地の裏側にある“混沌”もまた、シアトルの自由さを象徴している。
やるべきこと3:クラムチャウダーを飲む


マーケットの名物、クラムチャウダー。
濃厚で、海の香りがして旅の疲れを癒し、溶かしてくれる。クラムチャウダーに数千円を払うつもりなら、ガイドブック掲載の人気店へ行くのもいい。個人的には外のテラス席に座り、港の風が頬を撫でるのを感じつつ、フェリーの汽笛なんかを聞きながら、地元の人々と混ざって紙コップに入ったクラムチャウダーを飲むほうが気分なのだ。
テラスの先にはエリオット湾が広がり、フェリーがゆっくりと行き交う。クラムチャウダーを飲みながら、ただ海を眺める。モンタナの大空とは違う“水の広さ”が心を整えてくれる
やるべきこと4:スタバ1号店で“物語”に触れる

マーケットの敷地内にはスターバックスの1号店が現存する。世界中のスタバマニアが訪れてくるために、店頭は常に大行列。その喧騒も含めて“シアトルの物語”の一部だ。
実は過去に何回も来ているのだが、行列を見ると入る気が削がれて、まだ一度も入店していないことを白状する。しかしながら当時と変わらないロゴマーク、古いビルの一階、狭い店内を見るだけで、この場所から世界に広がっていったスタバ文化の始まりを感じることができるのだ。
撮影・取材・文 山下マヌー
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