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ニューヨークでもロサンゼルスでもない。モンタナに残る“アメリカの原風景”

ニューヨークでもロサンゼルスでもない。モンタナに残る“アメリカの原風景”

TRAVEL 2026.07 モンタナ特集

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シアトルから数時間先に、私たちが思い描くアメリカよりも、ずっとアメリカらしい風景が残っている。Big Sky Country――そう呼ばれるモンタナ州だ。広い空と果てしない大地、そして開拓の歴史。この国の原風景ともいえる土地は今、静かに変わり始めている。

シアトルの先に残る、Big Skyという別世界

シアトルから数時間先に、まるで別世界が残っている。モンタナと聞いて、すぐに地図が浮かぶ人は多くないのではないだろうか。

実際、自分もそうだった。地名より先に思い浮かんだのは、サンフランシスコ・49ersの名QB、ジョー・モンタナ。それくらい、日本ではまだ馴染みの薄い州だ。

けれど、日本からシアトルまでは直行便で飛べる。そこからモンタナ州の入口までは車でおよそ700キロ──東京から広島ほどの距離だ。思っていたより近く、アクセスも悪くない。

なのに、実際に足を踏み入れると、知られていないことが不思議に思えるほど、静かで、広くて、心に残る風景が広がっている。

LAやNYが“憧れのアメリカ”なら、モンタナは“そもそものアメリカ”。

大自然、広い空、まっすぐに伸びる道。

その道を大型のピックアップトラックが行き交い、ときどき鹿やエルクが飛び出してくる。観光地として磨かれた華やかさとは違う、もっと素朴で、もっと力強いアメリカがここにはある。

州の別名はBig Sky Country。その名の通り、空がとにかく広い。広いというより、空のほうがこちらに迫ってくるような感覚さえある。

この風景を前にすると、アメリカという国の“原風景”が静かに立ち上がってくる。そして、わずか200数十年で世界最大級の経済大国となったこの国のスケールを、改めて思い知らされる。

しかし、その“広さ”にも変化の兆しが

近年、モンタナ州の人口は増加傾向にある。背景には州に消費税がないこと、土地価格が比較的手頃であることなどがある。理由はとても現実的で、どこかこの国らしい。

だが、そのある意味煩悩的な理由が、この広大な土地の未来を少しずつ変えつつある。空はいつまで広いままでいてくれるのだろう。まっすぐな道は、どこまでまっすぐでいられるのだろうか。

すでに一部の地域では開発が進み、大型のショッピングセンターや住宅地が広がり始めている。どこに行っても同じような景色が続く、あの“金太郎飴のようなアメリカの地方都市”の姿が、この土地にも忍び寄っているのだ。

この土地が抱えてきた時間

もともとここは、ネイティブアメリカンの諸民族が季節とともに移動し、大地と共に暮らしてきた場所だ。

その後、“新大陸”を夢見てやってきた人々が町をつくり、鉄道が敷かれ、歴史が積み重なっていった。それでもなお、これほどの空と大地が残っていることは、ある意味で奇跡に近い。

日本とほぼ同じ面積に、人口は約110万人。この絶妙なバランスが、いつまで保たれるのかは誰にもわからない。だからこそ今、モンタナを見に行くことには、特別な意味があるような気がしている。

撮影・取材・文 山下マヌー

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