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バリ・アートの最前線 卓越したセンスのアーティストが教えるローカルスポット

バリ・アートの最前線 卓越したセンスのアーティストが教えるローカルスポット

TRAVEL 2025.03 バリ特集

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豊かな自然に恵まれた“神々の島”として多くの旅人を惹きつけてきたインドネシアのバリ島が今、さらなる飛躍を遂げている。世界水準の新たな文化や美意識を形成するのは、楽園を求めここへ導かれた人々。地球の未来をも見据えた有機的な生き方が、そこにはあるのだ。今バリ島で盛り上がるスタイリッシュな現代アートと、それを担うアーティストたちが勧めるローカルスポットを特別にご紹介。

卓越したグローバルなセンスが集う場所

かつては彫刻や舞踊といった伝統美術が中心だったアートシーンにも、活気あふれる才能による新風が吹いている。「サン コンテンポラリー」は、チャングーの隣のペレレナン地区に昨年オープンしたばかりの気鋭のギャラリー。南アフリカで生まれ育ち、自身も国際的に活躍するアーティストであるリッキーさんが立ち上げた美しい空間には、インドネシアを拠点とする造り手によるものを中心に、選りすぐりの絵画や彫刻が並ぶ。

「バリ島では音楽やテキスタイル、視覚芸術において、古いものと新しいものが強く結びつき融合している。ここに存在するはかり知れない才能たちを支援する空間が必要だと感じたんです。主に素材への深い理解と技術を重視し、物語性を持つ作品の数々を展示しています」

ギャラリーには常時、それぞれのスタイルを貫く個性的なアーティストたちの作品を展示する。この日、緑に囲まれた洒脱な空間にはリッキーさんと2人のアーティストたち、そしてギャラリー運営スタッフであるジャスミンさん、ディヤさん、ブリナさんの姿があった。

Sun. Contemporary

133b, Jalan Pantai Pererenan, Pererenan,Mengwi, Badung, Bali

https://www.sun-contemporary.com

自然が支えるあらゆる命の輝きを捉えて

バリの持つ多彩な要素が、感性を刺激してくれます。

リッキー・リー・ゴードン

自然界で採れる顔料や素材を用い、“自然で自然を描く”という理念のもと制作を続けるリッキーさん。「私がおこなうのは、そうしたいくつもの素材と形態の錬金術。自然を通したすべての命のつながりに光を当てています。中でも特に、海がインスピレーション源でありつづけており、バリ島の前はスリランカに拠点がありました。ギャラリー運営を通し、今後アーティストヴィレッジの創設を成し遂げたいし、メンバーのキャリアの成長にも手を貸したい」

バリの持つ二面性とそのバランスに着目

写真やシルクスクリーン、手縫いなどを組み合わせて並置するスタイルを貫くサトリアさんは、作品を通して人間と自然のあいだにある関係を浮き彫りにする。「バリ島の生活は日々の伝統や儀式を通じた精神領域と物質的な世界との調和で成り立っています。また観光開発に支えられる一方で、環境破壊という負の側面も。物事が持つこうした両方の性質とその均衡の必要性が、創作のテーマに」。グラフィカルな色と記号の配置には、多彩な受け止め方の可能性が。

インドネシアのメインアイランドであるジャワ島からバリへ移住してきたという彼に、この島のおすすめスポットを聞いてみた。「ウブドにある『サヤンハウス』のレストランで遅めのランチや山の夕日を楽しむ家族でのひとときは最高です。ここは本来ヴィラなので、ステイケーションにもうってつけ。またアートに興味のある人なら、そのすぐ近くにある『デフト プリントメイキング インスティテュート』でワークショップに参加してみてはいかがでしょうか。プリントメイキングの名匠であるデヴィ・フェルディアントから、リトグラフやエッチングといった多くの技法を学べますよ」

Devfto Printmaking Institute

自身のルーツ、職人技が生む佇まい

インドネシアとオランダにルーツを持つシャヤンさんは、バリ島の木工彫刻職人たちのアトリエで生まれ育った。そんな彼女が美を見出したのは、工業的な職人技と現代らしい趣向が交わる場所。硬い木材や石の残材、再利用されたテラコッタを使い、コンテンポラリーな彫刻アートや家具を生み出している。「一緒に仕事をする職人たちの技術や豊かな自然の風景があるこのユニークな環境こそが、世代を超え大切にしてほしい作品たちの源となっています」

シャヤンさんがレコメンドしてくれたのは、アートや家具好きにはたまらないアドレス。「クロボカンにある『マリー ヴェルスプール』には私の家族の木工工房と私のスタジオがあり、要予約ですが伝統技術を活かしたモダンな家具の数々を見ていただけます。アート好きにはウブドの『トニー ラカ』というギャラリーもぜひ。バリの昔ながらの民俗芸術とコンテンポラリーアートの両方を鑑賞できるし、ラウンジが併設されているので食事も楽しめますよ」

Shayan Gunawan

Mary Verspoor

バリ島への翼
ANAとガルーダ・インドネシア航空のコードシェア直行便で成田国際空港(NRT)からバリ・デンパサール国際空港(DPS)まで約7時間55分。帰国便は同様の経路で約7時間10分。バリ・デンパサール国際空港(DPS)から海沿いの市街地エリアまでは車で約15分~1時間、ウブドまでは車で1時間半程度。

写真 レシールマグズ
取材・文・編集 山下美咲

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