バイロンベイのコミュニティマーケットで聞いた幸せの基準
オーストラリアの生活に根付いているという「スローライフ」の概念。「心配だからどうしよう」と慌てる=ファストではなく、「なんとかなる」とゆっくり=スローに考える。これはなにも自然の中に住む人だけでなく、大都市でも当たり前のマインドなのだという。今回はオーストラリア最東端の街、バイロンベイから、国内でも特にスローライフを謳歌する人々の人生のモットーについて尋ねてみた。
太陽と海とコミュニティ。すべてに感謝と愛を
「メルボルン出身です。ここはコミュニティがユニーク。クリエイティブな人が多く、刺激されます。スローライフを実践できているのは、仕事よりも自分のやりたい活動を大切にしているから。週に3日ほど仕事をしたらほかの日は好きなことを。そのために大事なのは、愛。すべてに愛をもって接するようにしています」(セラミックアーティスト、ルーさん)
この街だからこそ叶う、シンプルでイージーな生き方
「ここで生まれて世界中に移り住み、6年前に戻ってきました。隣の大きな街とはまったく違います。バイロンベイのキャッチフレーズである『Cheer up, Slow down, Chill out(元気を出して、ゆっくり行こう、くつろいで)』がすべて。『Should be allright』もオージーの合言葉。大丈夫。なんとかなるんですよ。とくにこの街ではね」(マーケットスタッフ、クリスティーナさん)
“好き”の気持ちに従っただけ。楽しいことがすべて
「ビーチの魅力に惹かれて移り住み、30年近く。スローに生きているかどうかなんて考えたことはありません。ここの環境が好きで暮らし始めた。たまたま手先が器用だったので、好きだった服作りを始めたらうまくいって……そんな生き方。楽しさがすべてに勝る。それをスローというなら、そうなのかもしれませんね」(アパレルデザイナー、スーザンさん)
サーフカルチャーとクリエイティブなムードに惹かれて
「オーストラリアを調べているうちにバイロンベイのことを知り、パリから移住。アートやクリエイティビティを発揮できる点はパリと共通しているけれど、サーフカルチャーはこちらだけです。ホテルなどから不要になったタオルを引き取りアップサイクルして服を作っていますが、このアイデアもバイロンベイにいたからこそ生まれたもの」(アパレルデザイナー、リリーさん)
互いに認め合う文化を確立。誰が何をしようと自由
「いろんな場所を旅してきたけれど、世界でいちばん好きな街だよ。裸足で歩いてもどんな格好をしていても自由で、みんなが認め合っている。住み始めた頃と比べれば変わってきたのも事実だけど、このマーケットにはバイロンベイらしい雰囲気が漂っていると思う。小さなコミュニティを大切にしているし、スローライフを好む人が変わらずやってきます」(ATMマネジメントワーカー、ジェイドさん)
すべてにピース、みんながピース。それがバイロンベイ
「アデレードやブリスベンで暮らしたあと、サーフィンが好きでここに来て12年。1977年からジュエリーを作っていますが、この街では次々とやってくるアーティストたちが互いを刺激し合い、アイデアを共有することで相乗効果が生まれていると思います。何より、ピースフルなのがいい。それがここの最大の魅力かな」(ジュエリーアーティスト、フィリップさん&カップさん)
Byron Community Market
写真:高砂淳二 コーディネーション:ジェイ・エイ・リンクス 取材&文:山下マヌー 編集:山下美咲