サスティナブルとスローの街、バイロンベイで行くべきスポット3選
オーストラリアの生活に根付いているという「スローライフ」の概念。「心配だからどうしよう」と慌てる=ファストではなく、「なんとかなる」とゆっくり=スローに考える。これはなにも自然の中に住む人だけでなく、大都市でも当たり前のマインドなのだという。スローライフが特に定着する街バイロンベイで訪れるべきスポットと、そこに生きる人の思いをお伝えする。

ローカルで作り消費する、最高のサスティナビリティ
バイロンベイのアイコン的農園である「ザ ファーム」。ここでは数百種の野菜の栽培とヤギや牛、豚など数百頭、鶏1400羽の飼育を行い、レストランで提供する料理の素材のほぼ全部を賄っている。足りないものは地元の農家から仕入れ、100%ローカルのものを使って、フードマイレージの削減やローカルコネクションに貢献。

もちろん環境保全への取り組みも積極的だ。プラスチックを極力使わず、ワインもボトルではなく樽から直接サーブする。そうすることで、年間2万本近くものボトルの節約につながるそうだ。また定期的にワークショップを行い、子どもたちへの食の啓発活動を実施。食べものがどのように育てられ生産されているかをダイレクトに体験することで、食べることがより楽しくなるのだという。この単純な喜びから、“もっと知りたい”という好奇心や欲求を生み出している。
The Farm Byron Bay

ここでもビジーなことはある。だけど、その質はまったく違う
バイロンベイに自然の中のワイルドな宿泊施設がまだなかった頃、オーナーのジェームスさんが“ないなら自分で作ろう”と建てたのがこちらのホテル。

「木が生い茂って荒れ果てた土地を整備するのは、大変だったけど楽しかったよ。実はここもそれなりに忙しいんだ。だけど“忙しい”の質が違う。都会では人が多く移動したり仕事したりだけど、バイロンベイではおいしいものを食べたり自然の中でコーヒーを飲んだり、庭をケアしたりとか、そういう忙しさ。都会とはまったく違う“スローライフのための忙しさ”だね」
Blackbird

目指していた自由がここで見つかった
友人に誘われてこの街に来たのがきっかけで、こちらのカフェのオーナーになったというショーンさん。彼のスローライフのキーワードは「自由」だという。「ずっと目指していた自由を、バイロンベイで掴むことができた」と話してくれた。
さて、自身を顧みた時、スローライフを送るためのキーワードは容易に見つかるだろうか? もし見つかっていないとしたら、新たな旅に出かけて大勢の人と出会い、それぞれの生き方に触れてみるのも悪くないと思うのだが、どうだろう。
Folk Byron Bay
写真:高砂淳二 コーディネーション:ジェイ・エイ・リンクス 取材&文:山下マヌー 編集:山下美咲