石垣島のもう一つの楽しみ方 竹富、小浜を巡るフェリー旅で変化を堪能する島通い

八重山諸島の取材が決まったとき、心に浮かんだのは「限られた日数と予算の中、どれだけの島を回れるか」ということ。八重山のハブとなるのは石垣島。石垣島の港を起点として各島へはフェリーに乗って向かうことになる。行ったさきのそれぞれの島に泊まるという事も考えられたのだが、石垣以外の島から他の島へと向かうフェリーはないに等しいということを知る。なので滞在拠点を石垣島フェリー乗り場近くのビジネスホテルに構え、そこから毎日船に乗って島に渡ることに。
つまりビジネスホテルに泊まったビジネスマンの如く、毎日通勤電車ならぬ“通島フェリー”で、“職場”というべき取材場所へと向かうのだ。我々が乗り込む朝発の船内には、満員のサラリーマンの代わりに浮き輪を抱えた観光客、島民、工事関係者でほぼ満席。楽しくも、しかし天候次第では“出勤”取りやめとなる可能性もあるという、なかなか刺激的な「島通い」。


石垣島を起点にすれば竹富島へはフェリーで約10分、小浜島へも30分前後。西表島の大原港までも約35分。うまく予定を組めば朝に竹富、昼に小浜、夕方石垣というそんな“石垣初発、日帰り3島めぐり”も可能。実際、朝イチで竹富島で水牛車島を撮影、一旦石垣に戻り午後にはレンタルサイクルで黒島を撮影、再び石垣にという、空の色も風の匂いも島ごとに変化が楽しめる贅沢な(それでいてフェリー代金だけで)多島体験が可能。
もちろん、毎日が計画通りというわけにはいかない。八重山の美しい海だが、ときに荒れたり風が強くなったりする。そうなるとフェリーは欠航となる。そんな、旅に少しばかりギャンブル性が加わるのも、八重山流のスパイス?と割り切るしかない。

運悪く行った先の島で足止めされてしまったら? それはもう、星空の下で島時間に身を委ねる絶好の機会と気持ちを切り替え、満天の星を見上げながら、波の音に耳を澄まして離島での一夜を過ごすのがいい。


結果として、この「毎日フェリー通い」という取材スタイルは、面倒どころかむしろ病みつきになる楽しさでもあった。石垣島をベースにすれば荷物は軽装で済むし、宿も一拠点でOK。八重山諸島は、離れているようで実は“ちょうどよい距離感”で繋がっている。旅のヒントとしては、当たり前だが「八重山観光フェリー」や「安栄観光」の時刻表を事前チェック。午後の便をうまく組み合わせると、2〜3島巡る“多島日帰り旅”も案外いけるということが判明。次回は取材ではなく、ノープランで。ふらっと島に渡りたくなったら船に乗っている…そんな旅をしてみたい。石垣発八重山諸島は、“離れていて近い”旅の舞台でもある。

取材・文・写真 山下マヌー
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