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ミラノ・スカラ座で私は「もっと大きな舞台を夢見ていい」と知った 脚本家・西条みつとし

ミラノ・スカラ座で私は「もっと大きな舞台を夢見ていい」と知った 脚本家・西条みつとし

LIFE STYLE 旅の出会い

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才人が旅先で出会った忘れえぬ光景を綴る。今回は映画やドラマの監督、脚本家、演出家、劇作家、そして劇団主宰とマルチに活躍する注目のクリエーター。

西条みつとし | さいじょうみつとし

1978年、千葉県生まれ。2010年、14年間の芸人活動を辞め、放送作家に。2012年「劇団太陽マジック(現TAIYO MAGIC FILM)」を旗揚げ。現在はドラマ・映画監督、脚本家、演出家、劇作家など多方面で活躍している。映画、ドラマで国内外、数々の受賞歴を誇る。

西条みつとし 写真

イタリア・ミラノ 

かれこれ10年以上、映画やドラマ、舞台の監督、そして脚本を書くといった仕事を続けてきた僕が、打ちのめされるほどの強い衝撃を受けた場所――。それが2年前、旅行で初めて訪れたミラノでした。 

現地では写真の「スカラ座」見学の機会に恵まれました。そこでまず、イタリア・オペラ最高峰とされる劇場そのものに圧倒されました。舞台前の1階アリーナ席を取り囲むように、壁面全体に何層にもわたり設けられたバルコニー席。かつては貴族たちもそこから観劇したという「Palco」と名付けられたボックスの絢爛(けんらん)さと、途方もないスケール感を前に、僕は息を呑みました。 

舞台上は、上演前の“場当たり”のまっ最中。巨大な橋のセットを百人近いエキストラが歩き、演出家がマイクを使ってその一人ひとりに「もうちょっと右」「もっとゆっくり」と指示を出していました。

豪勢なセットもさることながら、この数のエキストラを使える芝居の壮大さ、贅沢さ、さらに、これだけの人間を待機させる場所が舞台裏にあるというシンプルな事実を想像しただけで、またしても僕は言葉を失くしたのです。これまで日本で、あれこれ頭を悩ませながら懸命に取り組んできたことが、とてもちっぽけに思えて仕方ありませんでした。 

とはいえ、決して打ちのめされてばかりではありません。「こんな演出をしたい」「あんな舞台を作ってみたい」「いつかは自分の劇場を」などと、自分なりに思い描いていたものが一気に広がり、夢が大きく膨らんでいくような感覚に包まれ、感動でワクワクしている自分がいたのです。

「ここまでいけたら、どんなに楽しいんだろう」と。 まだ、いったい何をどうすればたどり着けるのか皆目見当もつきません。それでも、いずれはまたミラノに、この劇場に、今度は仕事で訪問してみたいと思っています。

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