出雲・日沈む聖地へ 日御碕神社と経島を巡る心を整える旅
とちのこえをきくーー経島
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写真:宮澤正明
波の音が響く日御碕。遠くから聞こえるウミネコの声が海に重なり、時がゆっくりとほどけていく。出雲の海が奏でる、静謐(せいひつ)な音の世界をお楽しみください。
かみさまのこえをきくーー出雲 日が沈む聖地で今に還る
海に浮かぶ神域、経島。人の立ち入りが許されない島を前に、目には見えないものに心を寄せ、祈りを捧げてきた人々の営みに思いを馳せる――。ウェルネスのスペシャリストが神社を巡り、日本古来の祈りと「よりよく生きること」のヒントを探る本連載。神々の物語が息づく日御碕で、心と体を整える習慣を見つめ直した。
Mindful Steps 6,031歩
今月の「SHINDO」チームによる、日御碕神社から出雲日御碕灯台、隠ヶ丘までの往復散策の歩数(目安)
SHINDOーー神社でひらく、心と体のウェルネス
竹下雄真(たけした・ゆうま)
出雲 神話の記憶と祈りが息づく日御碕の神秘の島・経島

日御碕(ひのみさき)神社の沖合に浮かぶ経島(ふみしま)。天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る日沉宮(ひしずみのみや)の元宮と伝わる神域で、一般の人は立ち入れない禁足地。ウミネコの繁殖地としても知られる。毎年8月7日の夕刻には神職が島へ渡る「神幸(みゆき)神事」が執り行われる。

島根半島の西端、日本海を望む日御碕。訪れて、まず心を惹かれたのは、沖合に浮かぶ経島だった。
ここは、天照大御神を祀る日沉宮が現在の場所に遷る以前に鎮座していたと伝わる神域。今も一般の人は立ち入ることのできない禁足地だ。海風を感じながら海岸線を歩くと、その心地よさに、思わず「気持ちいい」と声が出た。

神社を案内してくれた責任役員の小野篤彦さんの話で印象に残ったのは、神は本来、姿形がないということ。御神体そのものが神なのではなく、そこに神様が宿る。そうした目には見えない存在を信仰するのが神道だという。
日御碕神社には、伊勢神宮が「日の本の昼」を守るのに対し、「日の本の夜」を守るとの由緒も伝わる。さらに、「現代人は午前0時から一日が始まると思いがちですが、本来の一日の始まりは日の出なんです」と教えてくれた。
一日は日の出とともに始まる。その言葉を聞いて、僕が日々実践している「ホルモンデザイン」のことを思った。
僕は一日の中に、自分を整えるための習慣をつくっている。朝は瞑想とアファメーションから始め、外に出て光を浴びながら歩く。午前中はトレーニング。昼は妻が握ってくれた玄米のおにぎりとプロテインで、午後の仕事に集中できる状態をつくる。夜は食事を終えたら入浴やサウナへ。照明を落として静かに本を読み、ヨガニードラで眠りに入る。
ホルモンは、やる気や集中力、安心感など、人間の心と体に大きく関わり、朝日や運動など日々の行動によってもその働きは変わる。ただ増やせばいいのではなく、大切なのはタイミングとバランス。だから僕は、自分の体の声を聞きながら、一日のリズムを整える。週末に神社を参拝し、自然の中で過ごすことも、その習慣の一つだ。
自分を整えることは、特別な何かをすることではない。日々の小さな習慣を重ねながら、意識を「今、この瞬間」に戻していく。それが、僕が大切にしている「中今」という考え方だ。日御碕の旅で、よりよく生きるヒントは、何げない日々の中にこそあるのだと改めて気づいた。


徳川家光の命で造営された社殿は、極彩色の彫刻も見事。


日御碕神社
住所 島根県出雲市大社町日御碕455
とちのものをいただくーーうず煮

出雲国造家に代々伝わるおもてなし料理。地元産のフグでとった出汁にフグの身や具材を加え、葛でとろみをつけた餡にご飯をうずめながらいただく。「フグは高タンパク・低脂質で、コラーゲンも含まれる。温かな一杯で良質なタンパク質を摂れます」と竹下さん。
店名 割烹・和食堂 看雲楼
空港からのアクセス
米子空港から日御碕神社へは車で約90分。宍道湖から日本海へと抜ける道中の景色も楽しみたい。
協力 渡部稔(有限会社出雲観光タクシー)
写真 宮澤正明
案内人 竹下雄真
音楽 黑瀧節也
編集 服部広子
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