炎鵬関を追いかける 空から始まる全国行脚の推し活記
全国行脚の推し活旅

元々多趣味で、仕事もなにが本業かと問われても即答しづらい環境を自ら作り出している私がハマっているのが「推し活」だ。
自分のことだけで精一杯で、寝る暇もなくぱっつんぱつんのスケジュールなのに、好きな対象を全力で応援することで、日常に潤いと生きがいがもたらされ、幸福感に浸ることができる。応援する対象を眺めたり、その魅力を仲間とチャットなどで語るだけで日々のストレスは半減。
元々はアニメキャラクターやアイドルのファン、マニアが使い始めた「〇〇推し」というワードは、子どもから高齢者、さらには日本が大好きな外国人にまで浸透した。
その広がりは、オタク文化だけに留(とど)まらず、ありとあらゆるジャンルに及ぶ。作品鑑賞、動画の視聴に始まり、グッズの収集、イベント参加と段階はあるものの、飛行機に乗ってライブ遠征するとか、そういう意味では、推し活ブームの後押しをしているのがANAをはじめとする航空会社ともいえる。
地方公演は、もとはと言えば現地ファンのための開催だったはずが、今や全国どこからでも飛行機に乗って駆けつけるというのが当たり前になってしまった。五輪、サッカー、メジャーリーグを海外で観戦、弾丸フライトというのも珍しいことではなくなった。
推し活における飛行機は、コンサートや試合の開催に合わせて目的地を転々とするコアなファンにとっては重要な移動手段である以上に、現地に赴くまでのファッションや応援グッズ、バッグなどで無言の連帯感や新たな出会いを生み出すきっかけにもなっている。

これまで大相撲ファンのことを〝好角家〟と呼んでいたのが、最近では〇〇関推しとか〇〇部屋推しと言われている。
私は伊勢ヶ濱部屋推し、なかでも大の炎鵬(えんほう)関推しだ。私とほぼ同じ身長、体重でも、大相撲の世界では〝小兵(こひょう)〟と呼ばれている炎鵬関。首の大きな怪我(けが)を乗り越え、不屈の精神で土俵へ復帰。番付を再び幕内に戻すべく十両で熱い戦いを続けているひたむきな姿、土俵際のスピード感あふれる逆転技を間近で応援するため、今年の11月も福岡で開催される九州場所へANAに乗って向かう。
その前に炎鵬関の出身地、石川県の能登空港に出向いた。入院、休場して番付が幕下になった後、一時は撤去されてしまっていた等身大パネルが、十両に復帰した後、再び展示されていると推し活仲間から聞いたからだ。
同郷の横綱大の里関らと共に、第69代横綱白鵬関(先代宮城野親方)へANAから贈呈された化粧まわしを受け継いだ姿が実に凛々(りり)しい。炎鵬関推しは必見だ。能登空港へGo!
〜つづく
イラストレーション ソリマチアキラ
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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