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元宋を魅了した奥入瀬、秋の渓谷美~日本画聖地巡礼9青森

元宋を魅了した奥入瀬、秋の渓谷美~日本画聖地巡礼9青森

CULTURE MUSEUM

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日本画専門美術館として半世紀以上の歴史を誇る『山種美術館』。本連載は同館の山﨑妙子館長をナビゲーターに、傑作が生まれた〝聖地〟を巡る。名画の世界を追体験し、その地に立った画家たちの視点を再発見していく。(全12回)

『奥入瀬(秋)』奥田元宋×青森・奥入瀬渓流

奥田元宋『奥入瀬(秋)』1983(昭和58)年 紙本・彩色・額(1面・3枚)182.0×546.0cm 山種美術館

青森県と秋田県にまたがる十和田湖を源流として、子ノ口(ねのくち)から焼山(やけやま)までの約14.5kmを流れる奥入瀬渓流。

日本を代表する景勝地で、春は柔らかな新緑、夏は深い緑、秋は鮮やかな赤や黄色に包まれ、冬には銀世界が広がります。

四季ごとに見られる風光明媚な景観とともに、草木や岩をかき分けて流れる清流も魅力の一つ。激しい流れから緩やかな流れ、滝も大きいものから小さいものと数多く流れています。この、千変万化する水の表情に多くの人が魅了されているのでしょう。

こちらの『奥入瀬(秋)』は、その奥入瀬渓流の自然美が詰まった作品。手がけたのは日本画家・奥田元宋(おくだげんそう)です。

彼も奥入瀬渓流に魅せられた一人。「原生林の生い茂る青森の奥入瀬は大好きな場所で、よくスケッチに出かけた。今でも新緑や紅葉の時期になると、体がうずうずしてくる」という言葉からも、奥入瀬渓流が画家のお気に入りの場所であったことがうかがえます。

紅葉が美しい秋の奥入瀬渓流

元宋は「四季折々の中で、やはり新緑と紅葉がとりわけ美しい。自然の気を最も強く感じることができる」とも語り、特に春と秋にひかれていたよう。

本作品のサイズは幅5m50cm近く。大画面に自身の心躍る場所、加えて好きな季節の風景をダイナミックに表現していることから、元宋の奥入瀬渓流への熱い気持ちが伝わってきます。このような画家の愛した特別な場所に出かけるのも素敵ですね。

(山種美術館学芸部)

おくだげんそう

1912年、広島に生まれる。本名・厳三(げんぞう)。児玉希望(きぼう)に師事。1936年、文展に初入選。戦後は日展を中心に活躍。1973年、日本芸術院会員。1977年、日展理事長。1981年、宮中歌会始召人(きゅうちゅううたかいはじめめしうど)に選ばれる。1984年、文化勲章を受章。人物画を主に手がけたのち、戦後は穏やかさと鮮烈さを使い分けた色彩により、雄大な自然の風景を描き出した。2003年没、享年90。

奥入瀬渓流

青森県十和田市
アクセス:青森空港からクルマで約90分
十和田湖から流れ出る奥入瀬川。十和田湖畔・子ノ口から焼山まで約14km、岩や樹林をかき分け、滝や清流を成しながら続く渓流。特別名勝、天然記念物として国の指定を受け保護されていて、滝や清流、岩など、たくさんの見所がある。

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やまざき・たえこ

慶應義塾大学経済学部卒業。東京藝術大学大学院後期博士課程修了。学術博士。在学中は日本美術史を学ぶとともに日本画家・平山郁夫氏に日本画の手ほどきを受ける。2007年5月、山種美術財団理事長兼山種美術館館長に就任。著書『速水御舟の芸術』(日本経済新聞社)ほか。各所での講演会などを通し、日本画の普及を幅広く行っている。

【特別展】日本画聖地巡礼―東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門―

「山種美術館では、名だたる画家たちが制作のために自ら訪れ、描いた実在の場所を日本画の『聖地』と位置づけ、その地がどんな場所なのかを写真や地図などでご紹介し、作品とともにご鑑賞いただく展覧会を開催いたします。現地での写生や画家自身の言葉も合わせて展示し、画家の『聖地』への眼差しを追体験していただくのみならず、なぜ実際の風景とは異なる構図や色調にしたのかなど、作品に込めた想いを再発見していただきたいと思います」(山種美術館 館長・山﨑妙子)

会場:山種美術館 東京都渋谷区広尾3-12-36

TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)(9時~20時)

会期:2023年9月30日(土)~11月26日(日)

休館日:月曜日※10/9(月)は開館、10/10(火)は休館

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

入館料:一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)

https://www.yamatane-museum.jp/index.html

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案内人:山﨑妙子(山種美術館 館長)