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聖地で堪能する、画家・土牛の斬新な視点〜日本画聖地巡礼5 兵庫

聖地で堪能する、画家・土牛の斬新な視点〜日本画聖地巡礼5 兵庫

CULTURE MUSEUM

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日本画専門美術館として半世紀以上の歴史を誇る『山種美術館』。本連載は同館の山﨑妙子館長をナビゲーターに、傑作が生まれた〝聖地〟を巡る。名画の世界を追体験し、その地に立った画家たちの視点を再発見していく。(全12回)

『城』奥村土牛×兵庫・姫路城

奥村土牛『城』(しろ)1955(昭和30)年 紙本・彩色・額(1面) 127.0×97.0㎝ 山種美術館

兵庫県・姫路市に堂々と建つ純白の城、姫路城。その姿は白鷺が羽を広げているように見えることから「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれています。白い理由は、外壁の仕上げに漆喰で塗り固める「白漆喰総塗籠(しろしっくいそうぬりごめ)」という方法が使われているため。漆喰は火に強く、城を覆うことで防火の効果を高める役割を担っています。

姫路城は、五重七階建て、大天守と東、西、乾(いぬい)の小天守が渡櫓(わたりやぐら)で連結された、連立式天守が特徴です。築城時から、現在の姿へと大きく形を変えたのは1601(慶長6)年~09(慶長14)年のこと。当時の城主・池田輝政(てるまさ)が行った大改築により造り上げられました。

その後は、五重七階建て・連立式天守のまま今日まで伝わっていますが、繰り返し修理工事が行われています。特に、1956(昭和31)年から8年間に及んだ修理は、天守を解体する大規模なものでした。その知らせを聞き、修理前の姫路城に駆けつけたのが本作品の作者、日本画家・奥村土牛です。

土牛は大天守全体を画面におさめるのではなく、城の一部を切り取る大胆な構図で姫路城を捉えています。土牛は「私はこれを描くころから何か開放されたような気持になって、自由にのびのびと制作できるような気分になっていた。描きたいと思った対象なら、人物、風景、動物、花鳥、なんでも失敗をおそれずぶつかっていきたい、無難なことをやっていては、明日という日は訪れて来ない、毎日そう考えるようになっていた」という言葉を残しています。その言葉通り、創作意欲にあふれた当時の開放的な気持ちが画面からも伝わってくるようです。「一体どこの角度から見たのだろう?」と姫路城を歩きながら、描かれた構図を探すのも楽しいかもしれませんね。

(山種美術館学芸部)

おくむら・とぎゅう

1889年、東京生まれ。梶田半古に学ぶ。1927年、院展に初入選、1932年に同人となる。1947年、帝国芸術院会員。1962年、文化勲章を受章。1978年、日本美術院理事長。薄い絵具を何重にも塗り重ね、淡い色調によるおおらかで温かみのある作風を確立した。1990年没。享年101。

姫路城

兵庫県姫路市本町68

開城時間:9時~17時(16時閉門)

姫路駅北口から神姫バス乗車「大手門前」下車徒歩5分

1993年、奈良の法隆寺とともに、日本で初の世界文化遺産となった姫路城。2015年、〝平成の大修理〟を終え、まばゆい輝きが蘇った。

https://www.city.himeji.lg.jp/castle/

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【特別展】日本画聖地巡礼―東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門―

「山種美術館では、名だたる画家たちが制作のために自ら訪れ、描いた実在の場所を日本画の『聖地』と位置づけ、その地がどんな場所なのかを写真や地図などでご紹介し、作品とともにご鑑賞いただく展覧会を開催いたします。現地での写生や画家自身の言葉も合わせて展示し、画家の『聖地』への眼差しを追体験していただくのみならず、なぜ実際の風景とは異なる構図や色調にしたのかなど、作品に込めた想いを再発見していただきたいと思います」(山種美術館 館長・山﨑妙子)

会場:山種美術館 東京都渋谷区広尾3-12-36

TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)(9時~20時)

会期:2023年9月30日(土)~11月26日(日)

休館日:月曜日※10/9(月)は開館、10/10(火)は休館

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

入館料:一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)

https://www.yamatane-museum.jp/index.html

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案内人:山﨑妙子(山種美術館 館長)