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スミソニアンで至宝を愛でる 知的好奇心を満たす街ワシントンへようこそ

スミソニアンで至宝を愛でる 知的好奇心を満たす街ワシントンへようこそ

TRAVEL 2025.06 ワシントンD.C.特集

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2025年1月に行われた第47代アメリカ合衆国大統領の就任式以降、連日のようにメディアに登場し、世界中から注目を集める首都ワシントンD.C.。ここは政治の中心地だが、それだけではない。米国の原点をひもとくミュージアムやモニュメント、年間を通して開催されるイベントなどがほぼフリー。芸術、科学、自然史など多岐にわたるコレクションを無料で楽しめるという、首都だからこそ成しえる特別な体験が叶う都市なのだ。2026年7月4日、米国は独立宣言調印250周年を迎える。その燦然と輝く魅力に会いにワシントンD.C.へ。

ナショナル・ギャラリーに展示されている博物館ドガの「14歳の小さな踊り子」の前で作品の経緯を説明するコミュニケーション担当のLaurie Tylecさん
人気の高い印象派絵画
レオナルド・ダ・ヴィンチの「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」。裏面にはジュニパーの小枝、月桂樹とヤシが描かれている

ナショナル・ギャラリー

13世紀から現代までの絵画や彫刻作品などを収蔵。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画をはじめとするルネッサンス期の作品、17世紀のオランダ絵画を代表するレンブラントやフェルメール、ルノワール、モネ、セザンヌなどの印象派、さらに家具調度品なども。西洋美術史のおさらいをするような圧巻の展示で、ギャラリーごとにテーマが設定されておりわかりやすい。

https://www.nga.gov

桁違いのコレクションに感嘆の連続

ワシントンD.C.のミュージアムを語る上で欠かすことができないのがスミソニアンの存在である。スミソニアン学術協会が運営する19のミュージアム(内2か所はニューヨーク)と研究センター、動物園を総称してスミソニアンと呼び、多くがナショナル・モールとその周辺にある。協会は「人類の知識の普及と向上」を目的に1846年に創設、膨大な収蔵品を無料で公開している。

国立自然史博物館のロタンダに君臨する身長4m、体重11tのアフリカゾウの剥製。

スミソニアンの礎はイギリスの貴族で化学・鉱物学者であったジェームズ・スミソンの遺産による。彼は生涯独身で正式な相続人がなく、1829年イタリアのジェノバで死去。遺言により全財産がアメリカ合衆国に遺贈されたのだが、スミソンは一度も米国を訪ねたことがなかった。なぜアメリカに? その答えは、1865年のスミソニアン本部の火災で日記や研究ノートなどの遺品が焼失し、謎に包まれたままだ。ちなみに本人の希望で遺骸も運ばれスミソニアン本部に安置されている。夢見た新大陸で、彼の名は今も人々の心に刻まれ、人類の歴史や発展に多大な貢献を果たす。

国立航空宇宙博物館にはフォード、ボーイング、ダグラスなど米国の民間旅客機が並ぶ。
1903年のライト兄弟の動力飛行機体

ワシントンD.C.のスミソニアンには「国立航空宇宙博物館」「国立自然史博物館」の他、アメリカ建国の歩みを知る「国立アメリカ歴史博物館」、日本の国宝級アートも収蔵する「フリーア美術館」、アフリカ美術に特化した「国立アフリカ美術館」などが点在。世界規模のこれらすべてを無料で鑑賞できる。また西洋美術の宝庫が「ナショナル・ギャラリー」。その所蔵品はすべてコレクターからの寄贈や寄付金で購入。スミソニアンではないがこちらも無料。まさに米国の底力を感じる。

アポロ11号のアームストロング船長の宇宙服は名言「That’s one small step for a man, one giant leap for mankind」とともに。
火星探査機に釘付け

国立航空宇宙博物館

スミソニアンのなかでも高い人気を誇る、航空機や宇宙船関連の世界最大規模の博物館。世界初の有人動力飛行に成功したライト兄弟のフライヤー号、アポロ11号の司令船・コロンビア号や乗員が着用した宇宙服、民間航空の歴史、没入体験型の惑星探検ギャラリーなど、米国の飛行技術の原点を物語る展示。入館料は無料だが事前予約が必要。※現在、段階的な改修工事中

https://airandspace.si.edu

Tレックスなど恐竜の巨大な化石が並ぶ。

45.52カラットのホープダイヤモンド。Photo by Chip Clark and digitally enhanced by SquareMoose

重厚な新古典主義の建築様式。

国立自然史博物館

スミソニアンのなかで最も古く、115年にわたって蒐集されたコレクションは植物、動物、化石、鉱物など約1億5000万点。入り口では巨大なアフリカゾウのヘンリーがお出迎え。恐竜や海のホールと続き、2階には鉱物と宝石のコーナーがあり、ルイ14世の王冠に用いられた世界一有名なダイヤモンド「ホープダイヤモンド」を展示。ダイヤの深いブルーに引き寄せられる。

https://naturalhistory.si.edu

取材・文 小関じゅんや
写真 yOU(河﨑夕子)
編集 小嶋美樹
協力 ワシントンD.C. 観光局

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