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ベトナム・ハノイ散歩 ホアンキエム湖で伝説の巨大な亀に出会う

ベトナム・ハノイ散歩 ホアンキエム湖で伝説の巨大な亀に出会う

TRAVEL 2025.10 ベトナム特集

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ベトナムの首都ハノイは、ホーチミンに次ぐ大都市。その中心街は、ハノイオペラハウスなどがあるホアンキエム区で、その名のとおり観光スポットとして多くの観光客が訪れるホアンキエム湖がある。
花が咲き誇る湖のほとりで記念写真を撮ったり、遊歩道を散歩したり、ジョギングしたりする人も多い。湖を一周すれば約2km、歩いて約30~40分の程よい距離だ。

その湖の浮島にあるのが、「玉山祠(ゴックソン寺院)」。入口でチケットを買い、岸から細い赤い橋を渡って中へ。この橋は夜にはライトアップされ、幻想的な景色が湖岸から眺められる。

この寺には、白藤江の戦いで元軍を打ち破った武将・チャン・フン・ダオや、『三国志』で有名な名将・関羽など、文・武・医の方面の英雄たちが祀られている。
入口の門「得月楼」の向かって左に、背中に刀と書物を背負った亀のカラフルなレリーフが見られる。反対側には麒麟が。

中でも一番驚かされるのが、ホアンキエム湖に棲むといわれていた伝説の亀の実物(剥製)の展示だ。2体がそれぞれ重厚な彫刻を施された特別なガラスケースに収められており、入口近くの黒い亀が、1968年に実際に湖で捕獲されたもの。当時、「長い間伝説とされていた亀が、本当にいた!」と、大ニュースになったそう。

その大きさは、測定法に諸説あるのだが、なんと体長約2m、幅は約1.2mといわれている。そして重さは、約200~250kg。正面から見るとこれがかなり可愛い顔をしていて、いい意味でイメージを裏切られる。

もう1体、隣に展示されている黄色っぽい亀は、ケガと病気を負っていたために50人あまりを動員して捕獲され、治療後池に戻されたが、2016年に亡くなったという亀「クー・ルア(ベトナム語で、おじいさん亀という意味)」だ。この亀の正面からの顔は、もっとキュート! まるでブタのような鼻をしている。
近年、ホアンキエム湖にも外来種のミシシッピアカミミガメが増えて在来種に噛みつくなどしていることも一因で、この湖に4匹いたとされるシャンハイハナスッポンはすでに絶滅種と言われている。

さて、その伝説とは――。
15世紀初頭、中国の明の支配下にあった時代、農民の黎利(レ・ロイ)が水の神である龍王から授かった神聖な魔剣で明軍を撃退し、黎朝を建国して初代皇帝になる。その後、湖に棲む巨大な金の亀が龍の舟に乗っていた黎利帝の元に現れ、剣を竜王に返すよう進言した。亀は剣をくわえ、湖に消えていった。この伝説によって、この湖は「還剣」を意味するホアンキエムと名付けられた。
伝説には諸説あるが、大まかに言ってこのような物語だ。ホアンキエム湖には今も、龍の舟が浮かんでいる。

ホアンキエム湖そばには、タンロン水上人形劇場があり、水上人形劇の定番の演目にも、この伝説の物語がある。

また、湖周辺の一部の通りは週末や休日の夜になると、車両通行止めとなって歩行者天国となる。ハノイの若者たちや家族連れが大勢集まり、さながらお祭りのよう。夜まで散歩したり遊具に乗って遊んだりと、自由を満喫している。

玉山祠(ゴックソン寺院)

住所 Dinh Tien Hoang, Hoan Kiem District, Hanoi, Vietnam

タンロン水上人形劇場

住所 57B Dinh Tien Hoang Street, Hoan Kiem District, Hanoi, Vietnam

取材・文・動画 西元まり
写真 西元譲二

ベトナムへの翼
羽田空港(HND)または成田国際空港(NRT)からホーチミンシティ(SGN)までANA直行便で。または成田国際空港(NRT)からハノイ(HAN)までANA直行便をご利用ください。