11歳でプロを目指す 超難関ベトナム・ハノイのサーカス学校を訪問
ベトナムはいま、サーカスを自国の文化として大切にし、発信している。それは世界でも“サーカス芸術立国”といわれるほど。若者たちの躍動感あふれる身体表現、現代的な演出、そして、民族音楽がみごとに融合し、独自の世界を繰り広げる。なかでも、竹を幾何学的に美しく組み合わせて使う「バンブーサーカス」の舞台が有名だ。
一度見たら虜になる、そんなベトナムサーカスの舞台裏を覗いてみよう―。
子どもたちが輝くハノイの国立サーカス学校

サーカスで生き生きと輝くアーティストたちの多くは、ハノイにあるベトナムサーカス&バラエティ芸術学校の卒業生。才能ある候補者1万人から約50人がスカウトと試験で入学し、卒業できるのはその4割と、プロへの道は厳しい。それでも国が力を入れるのは、芸術としてのサーカスを誇りある文化遺産と認めているからだ。

11歳で親元を離れてプロを目指す若者たちって、みな高い身体能力の持ち主? それとも少し個性的……? ゴッ・レ・タン校長に聞いた。

「入学の条件は3つあります。まずは健康。そして柔軟性や剛性、骨格を見ます。肘がまっすぐでないといけません。でも一番大事なのは、その子がサーカスを好きで、親も理解があること。子どもが楽しく続けられることが大切なんです」

入学3年目のグエン・ホン・ウェンさんは、「小学4年の時にサーカスを観て魅力を感じました。歌もダンスも練習して幅を広げたいです」。指導するズィ・アイン先生は、「彼女は飲み込みが早く表現力もうんと成長しました。自分の40年の経験を伝えることが大切な役目です」と語る。

昨秋から綱渡りを練習し始めた3年生のホアン・ヴァン・クオック・クォンさん。「大人しい性格だったけれど、サーカス学校を見学した時、とてもワクワクしました。みな違うことをやっているから比べられることもないし、仲間も先生もいて、学校が好きです」


ベトナムサーカス&バラエティ芸術学校
11~18歳を対象に、国立のサーカス教育機関として1961年ハノイに設立。サーカス、マジック、パントマイム、人形劇、伝統舞踊やバレエ、音楽、メイクなどを学ぶ。
ベトナムへの翼
羽田空港(HND)または成田国際空港(NRT)からホーチミンシティ(SGN)までANA直行便で。または成田国際空港(NRT)からハノイ(HAN)までANA直行便をご利用ください。
取材・文 西元まり
撮影 西元譲二
コーディネート 勝恵美
編集 中野桜子
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