ルーフトップバーで感じた“女性の輝き”と国の発展の相関性〜ベトナムと竹のしなやかな関係vol.5
古くからベトナムの人々の生活と文化に深く関わってきた竹。そんな竹とベトナムの人々との関係を浮き彫りにした特集取材で、筆者の山下マヌーが5年ぶりにベトナムを訪問。取材の中で感じた、国の発展を予測するのに役立つ意外な指針とは? 取材後記としてのエッセイを、ここだけで特別に公開。
なんだかんだと30年近く、旅の文章を書くことを生業としている。その間、幾度となく訪れた国もあり、それらの国の発展を感じたり見たりしてきた。国の変化にもいろいろあって高層ビルが増えたとか、車が増えたとかその手の変化は誰にでもわかりやすい。
自分にとってその国が「変わった」と実感するのは「女性たちがキレイになったな」と、そう思えた時。キレイな女性が増えたなら、もうその国は数年のうちに飛躍的発展を遂げていくのは確実。過去の経験からいえば上海や北京、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ミャンマー(今はいろいろ問題を抱えているけど)などがそうだ(後出しジャンケンなどではなく、ほんとにそうなのだ)。
これ、そこらの経済学者の語るその国の未来予想のようなものより、よほどよく当たると自負している。
女性が輝き始めることに加え、もう一つ。その国の変化と発展を感じることができるのが、バーの充実度。居心地のよいバーが増えるということは、男性達に時間的余裕ができたというだけでなく、女性と過ごす特別な空間が必要になったということ。これはもう、その先に広がる本能マーケット大爆発の導火線というわけ。
5年ぶりのベトナムには居心地のよい隠れ家バー、ルーフトップバーが増えていた。これまでの生活必需マーケットに加えて、本能と煩悩マーケットに火がつくのも時間の問題なのは間違いないのだ。
もっとも観光客の自分には、そういうバーよりむしろ路地に並ぶ屋台やソウルフードのバインミーの屋台のオバちゃんが好きだし、ベトナムのオヤジ達の憩いの場でもあるビアホイだって大好きだ。日本からはすっかり消えてしまったそういうアジアらしい風景の一つひとつは、「マイ遺産」として心のなかにきちんと登録しておかなくてはと思っている。
スタクレ/
写真&取材&文:山下マヌー 編集:山下美咲