モダンデザインと掛け合わせ語り継ぐ、竹加工の伝統技術の魅力〜ベトナムと竹のしなやかな関係 vol.2
古くからベトナムの人々の生活と文化に深く関わってきた竹。国の発展によりそれに代わる利便性の高いものが増えても、新たな価値と存在感を放つ。そんな竹とベトナムの人々との関係を探る当企画。vol.2となる今回は、ホイアンで竹のワークショップを主宰する人の思いに迫る。
次世代に繋げたい、伝統技術とモダンデザイン
「ベトナム人にとって、竹は文化そのものなのです」と、ホイアンでバンブーワークショップを営むタンさんは語る。彼がワークショップを始めたきっかけは、ある危機感から。「経済発展により若い人が竹からどんなものが作られるのかということさえ知らなくなり、このままでは村の竹加工の技術が失われてしまうと考えました」
そこで、伝統的な加工技術を活かし、現代的なデザインのものを作ることから始めたという。「お年寄りの技術者は、技術を持っていても、昔ながらのデザインのものしか作れない人がほとんどです。デザインが古ければ製品として見向きもされず、結果的に竹と関わる人がいなくなってしまう。海外からの観光客やベトナムの若い人たちに、竹のよさと技術を伝えていきたいのです。興味を持ってもらい、現代的なものと伝統技術とを組み合わせて新しいものを生み出して、循環させていく。そうすることで、ベトナムの竹文化と伝統を繋げていける。そのことは同時に、竹に関わっている人々の生活や暮らしを支えることにも繋がっていきます」
なるほど。それはつまり、観光客であっても伝統技術や人々の暮らしを守るために協力できることがある……と、そう言ったら言いすぎだろうか?
「いいえ、そんなことはありません。日本の皆さんがここへ来て竹と触れ合うことは、私たちベトナム人の文化と伝統を理解し繋げていくうえで、大いなる励みとなることに間違いはないのですから」
“竹はまた、発展の陰で置き去りにされがちな人々を支えてもいるのです”
Taboo Bamboo workshop
Thôn Thanh Tam, Xã Cẩm Thanh, Hội An, Tỉnh Quảng Nam
写真:勝恵美 取材&文:山下マヌー コーディネーション:モアプロダクションベトナム 編集:山下美咲