シカゴの空を映す“The Bean” 街並みとアートを調和させたグラントパークの歴史
シカゴを代表する公園、グラントパーク。
その前身は1844年に作られたシカゴで最も古い公園とされるLake Park。その名前からわかるように、ミシガン湖の湖畔に面した素晴らしいロケーションに位置する公園。この絶好のロケーションが今でも公園のままとして守られてきたのには、過去に様々な人々が努力を続けてきた結果でもある。
市は私有することを許さず「永久に空き地」として守ろうとし、その後土地計画を任された建築家たちは「文化センターを建てようと計画」し、「この素晴らしいロケーションの場所は市民みんなのために使うべき」と考えた。
前身のLake Parkから広大なグラントパークへと整備されたきっかけは、19世紀中頃のシカゴの急速な都市化と人口増加だ。
当時のシカゴは急速に成長し、市街地の拡大に伴って緑地や公共の開放空間が不足。そのため市民や都市計画家らは、市内に広大な公園を作る必要性を感じるようになり、市内に大規模な公園を建設する計画を立てる。この計画の一環として湖岸沿いに広がる湖畔の土地が公共のために確保され、建設されたのがグラントパーク。
公園の敷地には美術館以外の建物の建設は禁止され、メトロポリタン、ボストンと並ぶ全米三大美術館の一つ、シカゴ美術館が存在している。
その後2004年、公園の北部にミレニアムパークが整備される。
公園内にはアニッシュ・カプーア作のThe Bean(Cloud Gate)、フランク・ゲーリー設計のジェイ・プリツカー・パビリオンなどの近代的な建築と芸術が調和した景観が広がる。
The Beanは「21世紀で最も成功したパブリック・アート」とも呼ばれ、近年シカゴを特集する記事やTV番組ではほぼ必ずといっていいほど登場してくるアイコン。
だから「翼の王国」シカゴ特集でも大きく取り上げようと考え、日本からシカゴ到着後、すぐに公園に向かった。
ところがそこで我々が見た光景は、「工事中」の看板。“豆”の下部に貼られた大きな絆創膏のようなものが貼られている。工事関係者は訪れる観光客に気を使ったのか、豆と同色のシルバーの絆創膏を使ってはいるものの、なんだか痛々しい。この状態のものを撮影したところで、誌面で使えない。おまけに周りを柵で囲まれ、思うようなアングルから撮影もできない。
とはいえ、この豆を誌面に登場させなければ、事情を知らない一部読者の間から「シカゴ特集でThe Beanを掲載しないなんてありえない」という声が上がりそうである。
どうにかなんとか、限られたアングル(しかも選択の余地のない)から、やっとの思い出で撮影したのが本誌に掲載された写真。
実際はどういうふうな状態だったかというと、こちらのWEB記事に掲載してあるような状態。どうです?なかなか痛々しいではないですか?
でも安心してください。みなさんがこの記事を見てシカゴに行かれたときには、すっかり工事も終わってピカピカに磨かれたステンレスのオブジェが、シカゴの美しい青い空と、空に浮かぶ雲の姿を映し出しているはずですから。
取材・文・写真 山下マヌー
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