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オーロラのスピリチュアルな意味を知っていますか? 知られざるデネ族と光の物語

オーロラのスピリチュアルな意味を知っていますか? 知られざるデネ族と光の物語

TRAVEL 2025.02 カナダ・イエローナイフ特集

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イエローナイフでオーロラの取材を行おうと思ったとき、単に「きれい」「美しい」とか「感動的」といった表現で終わらせたくないと考えた。何度となくやられてきたことだし、既に語り尽くされている。では、何をテーマに展開すればよいのか?考えを巡らせているうちに浮かび上がってきたのがこの地に暮らす先住民族――ファーストネーションの存在。

とはいえ、当初はオーロラとファースト・ネーションであるデネ族との関係性については、ほとんど何も知らなかったし、知識もない。それになにより、それほどオーロラと強いつながりがあるものではないと思っていた。実際、オーロラ観光で現地を訪れた経験がある人に聞いても、「先住民族とオーロラの関係なんてあまり聞いたことがない」という返事ばかり。ところが、実際現地でデネの人々に話を聞くうち、彼らとオーロラとの間には、予想を超えた遥かに強いものがあることがわかってきた。

カナダ北部、北極圏にほど近いこの地の真冬の空に広がる光のカーテン――オーロラを見上げていると、視覚を超えた何か、心の深部を揺さぶるような感覚にとらわれる。それは単に自然現象を見る喜びではない。

デネ族のストーリーテラーであるジョーさんによれば、デネ族にとってオーロラはスピリチュアルな存在なのだという。それはただ「光のショー」を楽しむものではなく、彼らの精神文化や祖先の知恵と結びついている。

デネの人々はネイティブアメリカンやハワイの先住民族と同じように、文字を持たない文化だ。そのため言葉ではなく口伝で物語や知恵を次世代に伝えてきた。オーロラの下で生まれ、伝えられてきた物語は何千年もの間親から子へ、子から孫へと語り継がれてきたのだ。

ジョーさんの話では、オーロラは亡くなった祖先たちの魂が踊る光だとも言われている。光が揺れるたびに、彼らのメッセージが届いてくるような気がするのだと。それは彼らにとって励ましであり、守護でもある。厳しい冬を生き抜くための支えとなる、精神的な灯火といってもいいのかもしれない。

彼らの祖先たちはオーロラを灯火に見立て、空に広がる光を頼りに北極圏近くのこの地までたどり着いたのではないか?そんなふうに想像してみる。もちろんなんの裏付けもない単なる自分の想像(というか仮定の話)だ。しかし想像は自由だ。そしてこの地に生きる人々もまた、そうやって光の下で想像を広げ、物語を紡いできたのではないだろうか。

ジョーさんによれば「オーロラにまつわる話は山ほどある。ひとつとして同じものはない。オーロラの下で紡がれてきたストーリーもまた、私たちの文化」なのだという。

イエローナイフでのオーロラとの遭遇――それは単に神秘的光のショーを見るというのではなく、オーロラの光を通じてつながる人々の思い、自然と共に生きる知恵、そしてその根底にある精神性を感じる旅なのだと思う。オーロラは単なる現象ではなく、それを目にした人の心を映す鏡であり、語りかけてくる存在でもあったのだ。

写真 高砂淳二
取材・文 山下マヌー

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