オーストラリアで見つけた、スローライフの真実
オーストラリアの生活に根付いているという「スローライフ」の概念。「心配だからどうしよう」と慌てる=ファストではなく、「なんとかなる」とゆっくり=スローに考える。これはなにも自然の中に住む人だけでなく、大都市でも当たり前のマインドなのだという。本特集のためオーストラリアへ取材に訪れた山下マヌーが、自身で撮影した写真とともにweb限定の編集後記を公開。
「スローライフとは?」
そう聞かれたらなんと答えるだろう。多くの人が「のんびり生きる」というような、そんな回答をするのではないだろうか。今回の取材先、オーストラリアの人々は「スローライフを愉しんでいる」と思われているし、自分もそう思っていた。ところが彼らのスローライフとは、決して「のんびり生きる」ということではなかった。インタビューに答えてくれた人の中には、「自分のやりたいことがありすぎて、むしろ忙しい」と答える人も。
では彼らの考えるスローライフとは?
返ってきた答えは「周囲の目を気にせず生きる」ことだったり、「好きなことで生きていく」ことだったり。それはつまり、世間のスピードや評判を気にせず“らしく”生きるということのような気がする。そんな生き方を実践している人と出会ったときに、「のんびり生きていて羨ましい」と、感じるのだと思う。
そんな彼らがスローに生きるために大切にしていることはといえば「サーフィン」だったり「自由」だったり、「海」だったりといろいろで、「お金」「仕事」と答えた人は一人もいない。
取材中、「スローに生きるための忙しさもある」と語った人がいた。でもその忙しい時間は、とても幸福な時間なのだと思う。スローに生きるための多忙な時間……。
これから先、そんな幸せな時間を持てるのだろうか? いやいや、それを探さないと(見つけないと)ダメですね。
取材・文・写真:山下マヌー 編集:山下美咲